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第118話
支度を整えて最上階に向かった。
…
横溝先輩の階もとても綺麗だったけど、最上階は別格な雰囲気に包まれていて自然と緊張してきてしまう。
…絨毯からして違うし、漂う匂いが違う。
高級な香りがする…
……
お、お風呂入って来て良かった…
前を歩く横溝先輩の背中を眺めながら先輩に心から感謝した。
そうだ…ここは最上階で特別な人達が住んでいるフロアだ。俺みたいな一般人はきっと来ちゃいけないんだ……
その階のラウンジに案内された。
「あ、来た来た。幸ー!」
そこには三階先輩と、成谷先輩がソファに座っていた。
……は、はわわ…あの人は…
な、な、成谷先輩だ……!
こ、こんなこんな至近距離にっ!信じられない!動いてこっち…!お、俺のこと見てる!?
か、カッコいい!カッコいい!噂通りの甘いマスクに優雅な雰囲気を醸していて王子様みたいだ。
「……おーい佳川、しっかりしろ」
「ひゃ、ひゃい!!」
しまった!つい横溝先輩の後ろに隠れて成谷先輩をガン見してしまった。そんな優雅な成谷先輩は俺を眺めてフッと微笑む。
「君が佳川くん?」
「!は、はい!一年の佳川鈴です!どうぞよろしくお願いします!」
「よろしく。俺は…」
「三年の成谷太我先輩ですよね!」
「…そ、そう」
「知ってます!成谷先輩、有名人ですから!あああ……とっても!!カッコいいですね!」
「あ、ありがとう…」
あああ……!凄い!成谷先輩と会話をしてしまった。成谷先輩の隣に座っている三階先輩がくすくすと笑っていて、その姿がとっても可愛い。ソファに座るように自然な動作で促してくれる。
「佳川、頭の傷はどう?まだ痛いよね…」
「はい、ちょっと…あ、でも大丈夫ですよ。すぐ治りますから」
ちょこんと横溝先輩の横に座ると、すすっと横溝先輩が横にずれる。横にずれたので俺もずれて座るから……
「なんで、こっち詰めるんだよ…」
「え、横溝先輩がずれるから」
「くっつくなよ」
「え!なんで?隙間勿体ないじゃないですか!」
「は?動きづらいだろ!もっと離れろよ」
「嫌ですよ!こんな立派なソファ座ったことないから緊張しちゃうんで拠り所が欲しいんですー!」
「勝手に拠り所にするな…」
「酷いー無理です!!」
ソファに座って必死に横溝先輩に訴える。
こんな高級そうなソファ生まれて初めて座るかも!そう思うとソワソワして落ち着かない!
「さ、幸、か可愛そうだから…そうして…あげたら?…ふふ」
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