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第126話

最上階での話し合いを終えてから俺は… 必要なものを自分の部屋に取りに行き、横溝先輩の部屋へと向かった。 … い、いいのかな… 「一人は危険だから数日の間は横溝の部屋で過ごすように」 そう野宮先輩に言われたのだ。 …そう決定した。 自分の身が危険にさらされている実感は正直ないんだけれど、何かあってからでは遅いという先輩たちの意見だ。 「でも、先輩の部屋って相部屋でしたよね?お邪魔しても大丈夫なんですか?」 「…今は俺一人だから、そこは気にしなくていい」 「…そうなんですか…ってことは…今夜も…先輩と一緒に寝れる…」 「…ベッド別だから。あ、荷物そこに置いといて」 「えー不満です。同じ部屋なのにベッド別なんて、家庭内別居みたいじゃないですかっ」 「は?」 「大丈夫です!俺、先輩の事とって食うようなことしないんで!でっぇ!」 むにゅっと頬っぺたを摘ままれて引っ張られる。け、結構痛いれす先輩…… 横溝先輩の顔は怒ったような恥ずかしいような複雑な表情を浮かべ…口がへの字になっていて可愛い… 「そういうふざけたことを言うな…出て行ってもらうぞ」 「…ふざけてないし、出ていきません」 「…」 「俺いつでも本気だし!こんなチャンスないし。…それとも野宮先輩の方に行った方が良かったですか…?」 俺を数日間誰が預かるかで話し合った時に、野宮先輩か横溝先輩かどちらかということになった。 三階先輩と成谷先輩はまぁ外されて、何故か立候補していた香乃先輩も省かれたのだ。 「野宮先輩にご迷惑かけられません。佳川は俺のとこ空いてるんで預かりますよ」 そう横溝先輩が言ってくれて…嬉しかった。 野宮先輩…は憧れるしカッコいいけれど、そんな御方の部屋…部屋に一緒にとか…緊張してしまって恐れ多くて気が引けてしまう。 あぁ~やっぱり俺は横溝先輩がいい…落ち着くし癒されるし綺麗だだからずっと見てられる。 眉間に皺が寄るところもいい、その皺になりたい… 「うーん…やっぱり俺……横溝先輩のこと好きなんだなぁ…かなり好きです。なんか再確認しました」 「な、な…!…!!!」 頬を染めながら焦っている先輩を、そのままぎゅぅっと抱きしめてしまった。 細くて薄い身体は思ったよりも温かくて、気持が良い。 昨日の晩の横溝先輩の指は、氷のように冷たかった… それを思うとこの温もりが愛おしくてたまらない。

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