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第4話

「俺は良いよ? でも困るのお前だろ?」 「っ……別に」  別に困らない。  客の半分は零夜目当てで、彼は暇で毎日出ているから、顧客も多い。確かに一時的には困るが、こいつがいなくなったら、新しい人間を入れるまでだ。 「っ、ん、やめろ、っっ!」 「首弱いの? かーわいー」  そう言って、俺の上に跨がったまま、首筋を舐めたり、啄むようなキスを落としたりする。更には、弱い首筋をツーッと舌で辿った後、喉仏に噛みつきやがった。 「いっ……ふざけんな、俺は痛いのは嫌いなんだよ」 「そりゃ、ますますいじめ甲斐があるな」  そう言って、鎖骨や肩にも容赦なく噛み付く。本当に容赦なく。かなり痛いので、しばらく痕が残るに違いない。 「っとに、やめ……っ」  噛まれた所を再びペロリと舐められて、ぞくり、と下腹部に熱が集まる。 「感じちゃった? うっ……」  ゲシッと太ももを思いっきり蹴ってやれば、彼は下を向き、彼の髪が俺の顔にかかった。 「いい加減にしなよ。こんな事してただで済むと思ってる?」 「ははっ、強気だねー。ただで済まないならどうなるの?」 「いいから、どきなよ」 「やだね」  彼は自分の脚で俺の脚を押さえ込むと、楽しそうにシャツの裾を捲って腹部を撫でてくる。

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