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 第1章-6  「珍しいだろう、学園にこんな施設があるなんて。でも、これがあるから皆文句も言わず塀の中に収まっていてくれるんだ。君も何か要望があれば言えば良いよ。可能な限り叶えてくれるから」  「はぁ…」  確かに、校則では帰省以外に門の外に出ることは許されないとあるし、外泊申請や外出申請は、年に4回、毎季ごとの休みにしか出来ないと言う決まりもある。例外もあるみたいだけど。  ここ、陵北学園は、大事なご子息を事件や犯罪から確実に守る為の施設なのだ。  「あれが寮ですか?」  「そうだよ、中にはエレベーターが付いているから安心して。食堂も24時間使えるし、風呂トイレもそれぞれの部屋に付いてるから」  「ほぇー」  お高いホテルのような外観に、玄関口にはドアマンまで配置されている。それも警備の一つなのか。  ぱっと見で10階は越えてるだろうからエレベーターは納得だけど、食堂が24時間体制だなんて。  ここの生徒は皆お金持ちなのだ。今まで関わって来たことのない人種だし、傲慢でワガママなイメージがある。偏見だけど。  こんなところでボク、やって行けるのかな……価値観の違いなんかでイジメられないと良いけど。

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