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第1章-11
「あ、あの、これは……」
「去年の体育祭の写真だねぇ」
「でも、これ……」
「うん、競技に出場している殆どが、生徒さんの雇っている執事だよ」
タブレットに表示された画像は、去年の体育祭だと言う。でも、その画像には真っ黒なスーツを着たお兄さん達が、額に赤や白のハチマキをして、綺麗な姿勢でトラックを走っている姿だった。
その向こうに見えるのは、よくある白いテントなんかじゃなく、キャンプなんかで使うしっかりしたテントの下、これまたしっかりした椅子に座って優雅にドリンクを飲んでいる、体操服の少年達……。
ボクは言葉が出ないくらい驚いていた。
「次は学園祭ね」
「ゴクリ…」
体育祭の次は学園祭。これは少し予想がつく。きっとさっきの執事さんたちがエプロンでもつけて色んな出し物をしているんだろう。生徒は皆お客さん。そうじゃなければアレだ、自分の親の会社の商品を持ち寄ったりするんじゃないだろうか。うんうん、想像出来る。もう驚かないぞ。
「コレね。こっち側が生徒さん」
「……あれ、普通だ」
「だと思う?」
櫻さんの細く長い指が、軽い動作でスッと画面をスライドさせた。次に表示されたのは、豪華な装飾が施された暗い講堂で、演劇を見ている画像だった。櫻さんが指したのは、舞台の下に座っている生徒たち。
これも普通じゃない……?ってことは…
「もしかして、この演劇している方はプロの…?」
「正解。この学園の体育祭では生徒の代わりに執事が出場出来るし、学園祭ではプロの劇団員や音楽家が来て、公演を開いてくれるんだ」
父さん、母さん、ボク、この学園の人達に付いていける自信、なくなりました……
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