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恋人のすゝめ
「…で……さっそくプレゼント貰いたいんやけど…?」
「…ッ…あ……ま、待って…」
「?なに?プレゼントまなとちゃうん?」
「そ…だけど…ちが、くて…」
「……?」
銀がぐいっと俺のうなじに手を当てて顔を寄せる……近い…
すぐ目と鼻の先に銀の顔があってしどろもどろになってしまってキュッと目をつむった
なんか旅行の時以外銀と二人で近い距離にいたりすることが少なかったせいかこういうのすごくドキドキする…
「なぁ…まーな?…」
「ちょ、と待って…」
銀の胸を軽く押すと銀はすぐに解放してくれた
ちょっとホッとする
そ…そうだ…プレゼント…ちゃんとしなきゃ…
健斗と買い物に行った日の事を思いだす
結局あの後これといったプレゼントは見つからなかった
でも…
『うーん…じゃあ…本とかは?銀、本は読むんでしょ?』
『…う~ん………』
こんな感じであんまり気乗りしないながらも寄った本屋である本を見つけた
っていうか健斗が見つけてきた…
『ねぇ!!ねぇねぇ!!学これにしなよ!!銀絶対喜ぶよ!!』
そう言って健斗が持って来た本には『恋人のすゝめ』と書かれてた
どこかの心理学者だかが書いた良くある「良い女とは」みたいな恋愛のハウツー本だった
正直アホらしいと思ったけど長時間健斗を連れまわして申し訳ない気もしたし見てみるくらいならいいかなと思ってぱらぱらとページをめくってみた
するとそこには…
『照れて恥ずかしがってばかりではダメ、自分からも積極的に』
とか
『相手が優しいからって甘えてばかりはNG、自分もきちんと相手に尽くしてあげること』
などなど…正直耳が痛い内容がたくさん書かれていた
他にも『日常編』『イベント編』『エッチ編』などなど結構きわどくいろいろ書かれていた
カップルって大変なんだな……
『ね!!それに書いてるのしてあげたら銀絶対喜ぶよ!!』
『でも…なぁ…』
『でも銀が欲しい物の条件も満たしてるよ?』
『う、うーん…』
『ほら学だって銀のために何かしたいと思ってるんでしょ?』
『そりゃ、そうだけど…』
『じゃあ、決定!!買い!!』
『あ、おい!!』
……こうしてオレは銀の誕生日を祝うために一日『恋人のすゝめ』に沿うことになった…
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