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その3 彼のお願いには最善を尽くしましょう
かちゃ…っと遠慮がちにドアの開く音がしてそこからひょこっと黒いふわふわした頭が見えた
それに続いて困ったようなまなの顔が見える
「……ぎ、ぎん……」
「お、まな着た?」
「や、やっぱこれ無理…」
「だーめ」
「だ、だって…ひ、もが…」
「あぁ、紐結べないん?おいで?」
「………」
まなはもじもじしてなかなかドアの影から出て来ようとしない
「まーなー?」
「あ、わっ…く、くんな…!!」
「ダーメ、こっち…」
「わっ…」
ドアを閉めて逃げようとするまなを捕まえてリビングの方へ引っ張り出した
お、ちゃんとオレが行った風に着とるやん
「ちゃんと着てくれとるやん?」
「やめ…ひ、ひもが…」
まなはうまく結べてない紐を押さえて布が落ちないように一生懸命おさえとった
その様子を上から下まで眺める
まなに渡したのは去年のオレの誕生日に着てもらったエプロンと似たふわふわに白いエプロンやった
ちなみに下着もそれに合わせた黒のフリル…
去年のは新妻って感じやったけど今回のはメイドってかんじやな
まなはもじもじと恥ずかしそうにうつむいて膝を擦り合わせる
そんなまなをソファに座らせてオレ自身もその隣に座った
「ほらまな、こっち向いて万歳しや?紐したるから」
「………」
「自分じゃできないんやろ?」
「…うぅ…」
まなはきゅっと目をつぶっておとなしく紐の端をオレに渡した
恥ずかしいのを紛らわそうと一生懸命目をつむってプルプルしとる
…そうされると意地悪したくなるんよな
「…ふー…」
「…ッ…!!」
「まな、動かんで…」
「ッ~~~!!!」
わざとまなの顔に顔を寄せて低い声で話しかけたり耳元で吐息を漏らす
まなはそのたびに赤い顔で唇を引き結んでびくびくしていた
「さ、できたでまな?」
「……これ、なんかへんじゃ…」
「そういうもんやで?」
「……そ、なの……?」
紐を結び終えるとまながうるっとした目でこっちを見つめてくる
別に変じゃない
ちょっときつめに結んだけど別に変ではないから嘘は言っとらんし?
おかげでまなの体のむちっとした所が強調されててかわいらしかった
まなは足が出てるのが恥ずかしいのか膝を一生懸命すり寄せている
「さーて、じゃあさっそくまなの生足膝枕、してもらおうかな」
「………」
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