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負けず嫌い
なんかよくわからないけど銀は俺たちとは別行動することになった…らしい…?
あれよあれよという間に桜井さんの友達が来て…別行動になって…
まぁ…変な事される心配はなくなったんだけど…
でもちょっと……一緒に回りたかったな…なんて…
そこでハッとしてぶんぶん頭を振った
そ、そんな事ない…!!
だ、だってまたさっきみたいに人前でき…きす…なんてされたら…次は誰かに見られるかも…だし…
さっきのキスのシーンが鮮明に思い出されて顔が熱くなる
あんなの…なんて…
「……杉田くん?」
「え、あ…」
「だ、だいじょう…ぶ?」
「あ、ご…ごめん…大丈夫…」
足を止めて桜井さんが心配してくれる
桜井さんはオレを引っ張って走ったからかはぁはぁと息が上がっていた
覗き込まれてなんだか自分が思ってること見透かされてるような気分になって恥ずかしくて顔を逸らす
すると桜井さんも何か言いかけて開いた口を閉じてうつむいてしまった
「………」
「………」
しばらく沈黙が流れる
な、なんか…喋った方がいいかな…いい、よな?
や、やっぱ…桜井さん気まずい?だろうし?…こういうのは、お、俺から話し振った方がいいんだよな…?
で…でも何話せばいいんだ?
昔ほど人見知りしたり不愛想ではなくなったと思ってたんだけどやっぱり女子になじみがないせいかどうしたらいいかわからない
なんか銀ならこういうのさらっと上手にこなしそうで…腹立つ…
銀がハッと鼻で笑ってる顔が頭に浮かぶ
そう思うとなんだかムッとした
銀にできるなら俺にだって…!!
「桜井さ…」
「杉田くんっ!!」
「えっ!?は、はいっ!?」
そう覚悟を決めて口を開こうとした時、桜井さんが先に俺の方を向いて俺の名前を呼んだ
ぎゅっと俺の手を二本の手で一生懸命握っている
さ、先こされた…
俺はそのことで頭がいっぱいだったけど桜井さんは目を潤ませ俺を見上げて唇をぷるぷるさせながら小さく口を開いた
「す、すす、す、ぎた…くん、は…か、かの、彼女…さん…いますかっ!!」
桜井さんが顔を真っ赤にして絞り出したのはそんな質問だった
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