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怖がり同士

困った…ほんっとうに困った… 元気になったと思った桜井さんはなんだか急に顔を赤くして慌てだしてそのままココに入ってしまった… 俺も流されて入っちゃったけど正直めちゃめちゃ後悔…って言うかかっこつけたりしないでちゃんと怖いって言ってればよかったんだ…そしたらこんな… 「うらめしや~」 「キャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」 「うわあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」 お化け屋敷になんか入らずに済んだのに… ちょっと前…桜井さんにぐいぐい押されてこの建物にはいる時…男でしかも桜井さんは全然怖がってないのにオレだけが怖いから嫌だなんて言うのは恥ずかしいって変な意地張っちゃってそのまま怖いと言えずに入ってしまった でも中に入ったら真っ暗でダメかも…って思った 桜井さんもなんかきょろきょろして様子がおかしくて…そこでかっこつけたい気持ちよりも怖いって気持ちが勝って桜井さんに出ようって言おうと思ったんだ… 後から知ったけど桜井さんはここお化け屋敷だって知らずに入ってたらしい… なのに入ってすぐの入口のところでおばけに驚かされて…どんどん奥に… 「ヒッ…ご…ごめ…ごめんなさい…」 「………」 桜井さんは今俺の後ろに隠れて俺の服の裾を握ったまま顔を背中に押し付けてぷるぷる震えている さすがにそんな桜井さんにしがみ付くわけにもいかず俺は俺で必死に目をつぶってた 桜井さんもこういうの苦手らしい… もう何度もおばけが出ては二人してしゃがんでそれから5分ぐらいしてからちまちま進むって言う作業を繰り返してる… 文化祭の時に銀と入ったお化け屋敷とは当たり前だけど比べ物にならないくらい怖くて腰を抜かしてなかったのが唯一の救いだった 「ふぇ…こ、怖いぃ…こわいよぅ…」 「………」 「ご…ごめん、なさい…す、すぎたく…ご、ごめ…」 「だ、だだ、だ、いじょうぶ…だ、よ…」 後ろから桜井さんの声が聞こえる 何かもっと気の利いたことを言ってあげたかったけど怖くて声も震えまくっててこれが限界だった …情けない…… その時後ろからとんとんっと肩をたたかれた 桜井さんだと思って振り返ってあげたかったんだけど正直後ろ振り向くのってめちゃくちゃ怖い… 「す…す、す…すぎた…くん…すぎたくん…」 「な、な…に…?…」 だからそっと桜井さんの方を向いて目を開けたんだけどそこには顔面蒼白って感じで口をぱくぱくする桜井さんと、その肩に頭を乗せて俺の肩に手を伸ばす桜井さんと同じような顔色で血まみれの女の人がいて俺まで顔が真っ白になった ホント腰が抜けなくてよかったと思う 「「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」」 そのまま俺と桜井さんは今までで一番じゃないかってぐらいの勢いで走ってお化け屋敷を後にした ホントにもう絶対お化け屋敷なんかには入らない…ここは遊びで来るところじゃない…ほんとに… でも話はここで終わらなかった 「まな!!」 「あ…え…銀?」 すごい勢いで周りも見ずにお化け屋敷から走って出て来たら後ろから知った声に呼ばれて急ブレーキをかけて振り返った 視界の隅に銀が見えた気がする でもすぐ目の前にビックリした顔の桜井さんも見えた 「えっ、す、杉田くん!?わ、わあっ!!」 「え!?わぁ!!」 そう思ったらお腹のところにどんっと結構な衝撃が来て体が傾いた

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