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正妻(?)の余裕
「あ、あぅ…うぁ…」
「うぅ…ぁ…」
「……………」
あー…なんかいろいろ手遅れやった…
手遅れっちゅうか…なんか…
まなを探して走りまわっとったら突然まなの(あとちづちゃん)のすごい悲鳴が聞こえてここかな~思うたらやっぱりここやった
がたがたすごい音がしてすごい勢いですごい形相の二人が飛び出してきた
もう二人とも泣きそう…って言うか泣いとったやん…
そのまま放っといたら二人ともどこまでも走っていってまた見失いそうやからまなを呼んだ
そしたらまなが止って振り返ってちづちゃんが突っ込んで…
なんや、マンガみたいやった…
こうしてオレは自分の恋人が自分の事を好きな女の子の胸を揉みしだいてキスしてる瞬間を目撃したわけやけどその時は不思議とそんなたいそうなジェラシーに燃えたりとかそういう感情は抱かなかった
…いや、正確には嫌やったけど志波や兄貴の時に抱いた危機感とか嫌悪感とか嫉妬心は湧かなかった…
………やってちづちゃんやし…
この時オレはどこかでちづちゃんを下に見てたんやと思う
って言うか下とか以前になんていうんやろ?スッゴイ歳の離れた弟が自分の彼女にスッゴイ好き好き言うとるみたいな?
失礼な話やけど正直眼中になかった
「あ、あの…さくらいさ…」
「ひぇ…!!ご、ごめんなさい!!」
まなはというとなんて声を掛けたらいいか悩みに悩みまくって真っ赤な顔でおろおろしてやっと声を掛けたと思ったら謝られとった
……まな…女子とちゅーするのも女子の体触るのも初めてやもんな……童貞やし………かわいそう……
「ご、ごめんなさい…わ、わたし…なんてことを…ご、ごめ…」
「えっ、やっ…あの…」
「き…気持ち悪かったよね…?そ、その…私なんかとき…き、き、ききき…き、す…なんて……し…しかもその…お、おっぱ…い…ちっちゃくて……ご…ごめ、んなさぃ…」
「あ、いや…ぅ…」
しかも結局いいフォローも入れられずにひたすらたじたじしてちづちゃんに謝らせてしまっとった
ちづちゃんはちづちゃんでおっぱいがちいちゃくてごめんなさいってなんやねん…まぁあれはBあるかないかぐらいやろうけど…
でもオレがちづちゃんに対してこんな余裕でいられるのもここまでやった
やっとまなが口を開く
まなはもじもじして相変わらず耳まで真っ赤やった
「え、と…その…じ、じこ…だった、し…その…気にしないで…」
「で…でも…わ、私じゃなくて…杉田くんが…」
「べ…べつに俺はその…いや…とかきもち、わるい…とか、じゃ……なかった、から…だ、大丈夫…で…えっと…」
「…え…?」
「え?」
…え?…
思わず声が出そうになった
「い…いやじゃ…なかったの……?」
「え…あ…う、うん…?」
まなは不思議そうな顔で答えてる
嫌じゃない…?
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