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好きだなぁ

「あ…ぅ……」 「え、と…その…」 「………」 「……と、とりあえず…えと…歩く…?」 「あ…う、うん!!あ、歩く…!!」 「じゃあ…」 そんな会話をしてからもうだいぶたった気がする でも結局言いたいことが喉のところでぐるぐるして言えないままだった 杉田くんと並んでぽてぽて歩く 杉田くんは短い私の歩幅に合わせてゆっくり歩いてくれた ………優しいなぁ… なんだかほわんって気持ちが暖かくなった 「………」 「………」 「……っくっちゅん…!!」 「!!」 「…ぅ…」 ………でも体はそれと対応はしてなかったらしい… …さ…寒い…!! ひゅうっと冷たい風が首元や足首の辺りを吹き抜けて行って寒さに思わず首を縮めてふるっと震えた す…杉田くんの前で…は……恥ずかしい…!! カァッと赤くなった顔を隠すようにうつむいた こんな…やっぱりこ…っここ、こく、はくなんてむりだよぅ… ぎゅーっと目をつぶって恥ずかしさを紛らわせていたら突然ふわっと方が暖かくなってふあんっと優しい良いにおいがした 肩に視線を向ける 「…え、と……それ、風邪ひいたら困る、し…」 「えっ…、え…?」 「その…迷惑じゃなかったら、使って…?」 「!?」 私の肩にかかっていたのは杉田くんが着ていた黒っぽいパーカーだった こっ、これっ…す、すすす…す、杉田くんの!? カッと顔が熱くなって返そうとする 「い、いいよ!!だ、大丈夫!!もう平気だから……っくっちゅん…!!」 「………」 「………」 ……タイミング悪い… 杉田くんは笑っていいよいいよって言ってくれて結局杉田くんのパーカーを借りてる ………杉田くんの匂いがする… なんだか胸の奥がきゅんってした ……好きだなぁ…

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