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ただ…
中学のころから…いや、もっとずっと前から私はどんくさくてどちらかといえば皆から嫌がられたりうっとおしがられることの方が多かった
両親とも共働きでお母さんもお父さんもお仕事ができる人だったからきっと二人ですらなんで自分の子が…って思ってたんだと思う
お父さんはあまりおうちにいなかったしお母さんもそっけなかった…だから私はいっつもおばあちゃんの家に預けられててあんまり二人と一緒に何かしたって記憶がない…
泣き虫で甘ちゃんで手がかかって…
だから高校に上がっても優しかった夏輝ちゃん意外とはあまり仲良くできなくて…せっかくしゃべりかけてもらってもおどおどしちゃっていっつもそっと静かに生活してた
そんなときにたまたま図書関係委員になった
なったのは仕事も多いしめんどくさい図書関係委員を皆やりたがらなくて学級委員だった夏輝ちゃんが困ってたからって言う理由だった
少しでも誰かに自分がしたことを偉いねって褒めて、ありがとうって喜んで欲しかった…
でもやっぱりそんなにすぐすぐドジが治るわけでも無くて…
「きゃっ…!!」
「おい!!…ったくまたお前かよ!!もう何度目だよ!!もう一度それ並べなおすのにどれだけ時間かかると思ってんだ一年!!」
「す…すみませ…」
「あぁ!?聞こえねえよ!!」
「ひっ…!!」
何度も失敗していつも先輩をイラつかせてみんなの足を引っ張ってしまった…
先輩が大きな声で怒っている
それが怖くて私は満足に謝ることもできなくて、惨めで涙が出てきた
そんな私の態度が余計に先輩をイラつかせて余計に怒られる…
……私が悪いんだ…私が…とろいから…
「……またあの子…?」
「…今週に入ってもう何度目だよ…」
「かわいそうだけど、でも確かにあんなにミスされるとわざとかって思っちゃうよね」
「って言うかわざとじゃない分余計にたちが悪い…」
「…………」
周りでみんながひそひそ話す声がする
余計に涙が滲んだ…
…でも………
………いいんだ…全部本当のことだもの……昔から…慣れてるもの…
ただちょっとだけ褒めて欲しいなぁって思っただけだった
でも…そんな私に味方してくれる人がいた
「そんな大きい声で怒鳴ったら謝りたくても謝れないじゃないですか…」
「あぁ!?」
それが杉田くんだった
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