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杉田くんのおかげ
こうして半年間の図書関係委員の任期を杉田くんと一緒に過ごした
あれからも杉田くんは何かと私を助けてくれた
先輩に怒られてたらそっとフォローしてくれたし仕事も手伝ってくれた、そのお礼に私がお菓子を作っていくといっつもおいしいね上手だねって褒めてありがとうって言ってくれた
夏輝ちゃんのために始めた図書関係委員で、でも先輩が怖くて毎日行きたくないなぁって思ってたのが杉田くんが声を掛けてくれてからすごく楽しみになってた
でもやっぱり半年で任期は終わっちゃってクラスも違ったから話す機会なんかもなくなっちゃってまた一緒にお話ししたいなって思ったけど私はだめだめだから自分から話しかけに行けなくて…
なんだかすごく悲しかった
でもそれでもたまに見かける杉田くんを目で追ってしまったりしててそしたらまた胸の奥のとこがきゅぅうんとなった…
それからちょっとして自分は杉田くんが好きなんだって知って…
ちょっとでもかわいくなろうって毎日いろいろ頑張ってみたりお話も上手にできるように練習した…
それでこのあいだのバレンタインデーに夏輝ちゃんに背中を押されて告白したんだ…
「…………」
きゅっと杉田くんが肩に掛けてくれたパーカーを握ってチラッと隣の杉田くんを見てみる
………ちょっとくるくるした髪と猫ちゃんみたいな目でなんだか暖かそうな感じ…
一年生の時に思ったことと全く同じことを思った
また胸の奥がきゅぅってなる
目を細めて楽しそうに縁日を眺める杉田くん…
やっぱりピンクの人よりも杉田くんの方がカッコいいよ…
そう思ったらなんだか勇気って言うか、好きって言いたいなぁって思った
………夏輝ちゃん…私頑張るよ…!!
深呼吸して拳を握った
「す、杉田くん!!ちょ、ちょっと…来て…?」
「え…?」
「ちょ、ちょっとでいいから…」
なんだか杉田くんの手を握るのは恐れ多くて袖を握る
少しだけ触れた杉田くんの手は暖かかった
……………
正直怖い…
私もう一度フラれちゃってるのにまたこんなことして…嫌な子って思われないかな…とか…もし杉田くんにうっとおしいなって思われてたら悲しいなとか
そんな事を考えちゃうと『やっぱりなんでもない』って言っちゃいそうになる
でもきっとやっぱりなんでもないって言っちゃったら後でもっと嫌な気分になちゃう…
きゅっと一回目をつむってからもう一回深呼吸した
ずっと男の子は怖い物だと思ってたの…
体も声もおっきいし、危ないコトが好きだし…えっちだし…
でも杉田くんは優しくてほわほわしてて暖かくて…
それからちょっとだけ…ほんのちょっとだけだけど男の子や夏輝ちゃん以外の女の子ともお話しできるようになったの…
杉田くんに褒められたのが嬉しくてお料理頑張ったらね…ママとパパにも千鶴の作る料理おいしいねって褒めてもらえたの…
杉田くんの…おかげなの…
きゅうっと胸の奥が狭くなる
杉田くんが好きなの…
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