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初めて好きになれた人

杉田くんとピンクの人のの背中が小さくなっていく 肩に掛けられた杉田くんのパーカーにはまだ杉田くんの熱が残ってるような気がした 「…………」 ほろっと我慢していた涙があふれ出す 一度流れ出すともう止まらなかった 「ふぇ…っう…っうぇ…えぅ…」 「ちづ!!」 思わず体の力が抜けて地べたにへたり込んでしまいそうになる それをどこからか急に現れた夏輝ちゃんが抱き締めてくれた 夏輝ちゃんだけじゃなくて夏輝ちゃんと一緒にいたあの男の子もいるのにそんな事全く気にせずわんわん泣いた 「ふぇ…え~ん…なつきちゃ…わ、わたし…うぇ…グズ…うぇ~ん…」 「うんうん、頑張ったねぇ、ちづ…」 「ふぇ~ん…」 夏輝ちゃんにしがみ付いていっぱい泣いた 元から泣き虫だけどこんなに泣いたのは初めてだった 胸にぽっかり穴が開いたみたいでそれが痛くて苦しくて辛かった 「ちづ、頑張ったねぇ、偉いよちづ…」 「…ッグズ…う…ん……」 「今日もいっぱいおしゃれして頑張ってたもんねぇ…」 「………………う………ん…」 夏輝ちゃんがいっぱい褒めていっぱい頭を撫でてくれる いっつもこれでほっとできるのに今日は悲しくてしょうがなかった 「な、つき…ちゃ…」 「…なに?」 「わ、たし…すき、だった…の…」 「…うん」 「す、ぎたくん…のこと…すごく、すきだったの…」 「うん…」 好きだったの…すごく…すごく… 大げさに聞こえるかもしれないけど、杉田くんのこと好きになって全部が楽しくなったの… ずっと暗かった心の中がぱぁぁって明るくなったの… そんな調子で夏輝ちゃんにしがみ付いてずっと泣いた 涙は全然枯れなくて体中の水が無くなるんじゃないかってぐらい泣いた その間夏輝ちゃんはずっと話を聞いてくれてずっと頭を撫で続けてくれた いつの間にか杉田くんに掛けてもらってたパーカーは肩からずり落ちてしまっていた… ほんとに…ほんとに好きだった………私の初めて好きになれた人…… ぐずっと最後の涙を拭って杉田くんたちが立ち去った方をぼんやり眺めた 泣きすぎて目や鼻が痛かった さようなら…私の初恋…

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