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セックスしよか?

銀が俺の手を引いて前を大股で歩いた 胸が痛い… 別に俺が失恋したわけじゃないのにどきりきりと胸が痛くて、こんなのは俺の自己満足だけど桜井さんの事を思うと目頭がじわっと熱かった 「……ッズ…ぐす…」 「………」 銀にからかわれるかなと思ったけど銀は黙って俺の手を引いてくれた いつの間にか縁日を抜けてさっき桜井さんに告白される前に銀につれてこられてキスされた神社まで来ていた 銀はやっぱりその裏手に回り込んだ 「………」 「……っ…」 銀が木にもたれてそのまま俺を抱き締めた 一瞬びっくりして涙が引っ込んだけれど落ち着く銀のいい匂いと温度に気が緩んでもっとたくさん涙が出てきた 「……っく…うぇ…ぐず…」 わかんない……わかんないのに涙が止まらない… きゅうっと銀の胸元顔を押し付ける 「ははっ…まなが泣くことないやろ~…」 「……う…ん……でも…なんか…」 「なんか?」 「………わかん、ない……」 「ははっ…」 「……ッズ…」 銀は笑いながら頭と背中を撫でてくれた だんだん気持ちが落ち着いてくる しばらくして銀は俺から体を離して顔を覗き込んできた 「ふふっ、泣くな、まな」 「………」 「目と鼻、真っ赤…」 「…ッ……ん…」 銀が俺の目元に残った涙を舐めとってかぷっと鼻の頭を噛む そのままはぁ…っと熱っぽい息を吐きながら下がってきた唇が俺の唇をかすめるように触れあった 銀が不敵に笑ってもう一度俺の目元を舐めてから自分の唇を舐める 「なぁまな…セックスしよか…?」

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