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素敵な初恋
こうして私の初恋は終わった
杉田くんとピンクの人が付き合ってるっていうのはちょっと…って言うかかなりびっくりしたし、杉田くんの事をすぐにスパッと忘れることはできなかったけどでも告白したことを後悔はしてなかった
そして次の日の朝、散々泣いてまだ少し赤い目元にひえぴたを貼ってご飯を食べて、制服を着て、ひえぴたを剥がしてからおばあちゃんにいってきますを言って家を出た
杉田くんがピンクの人との事を話してくれたってことはちょっとだけでも私の事信用してくれたってことだよね…?
それぐらいうぬぼれても良いよね?
ギュッと昨日肩に掛けてもらったまま返しそびれてしまった杉田くんの黒いパーカーを入れた紙袋を抱き締めた
ちゃんと洗濯して柔軟剤も使ってアイロンだってかけて来た
あと迷惑かなって思ったけど最後だから杉田くんがおいしいって言ってくれたクッキーも作ってきた
「あ」
「…あ」
「…あ……」
学校について上靴に履き替えて教室に向かおうとしたとき後ろから杉田くんとピンクの人が登校してきた
まだ心の準備できてなくてあわあわしてしまう
杉田くんも目をパチパチしてから少し視線を泳がせた
やっぱり気まずい、よね…
「……まな、オレ先いっとるな?」
「え…あ…う、うん…」
「…ん……ちづちゃんおはよお」
「あ、お…お、おはよう…ご、ございます…」
ピンクの人はにこっと笑って私の頭にポンッと手を置いてから脇を通り過ぎて行った
…いい人だな……
「………」
「………」
杉田くんと私の間に沈黙が流れる
それが少しさみしくて悲しくてまた泣いちゃいそうになった
これだけ…このお洋服だけ返そう…
ぷるぷると震える手でそれを杉田くんの方に突き出した
「ひゃ、ひゃの!!これ、か…借りた、ま、ま…ま、まま、で…その…柔軟剤、も…した…から…その…」
テンパって声が裏返ってしまった
ずいっとその服の入った紙袋を杉田くんに押し付けるように渡す
い、いかなきゃ…杉田くんに迷惑かけちゃう…
「じゃ、じゃぁ…」
「あ…」
そのまま杉田くんに背を向けて教室まで小走りしようと思った
「さ、桜井さん!!」
「!!」
「えっと…その…おはよう!!」
「!!」
驚いて振り返ると杉田くんがなんだかちょっとだけ照れくさいような困ったような顔で頭を掻いてた
……………ッ!!
嬉しくてまたいつかの時見たく胸の中がぱぁぁって明るくなる
体中ポカポカしてさっきまで出てきそうだった涙とは別の涙があふれてきそうだった
私…杉田くんを好きになってホントに良かった…
初めて好きになった人が杉田くんで本当に良かった…
自然にニッコリと笑顔になった
「お、おはよう…!!」
杉田くんも嬉しそうに笑顔を向けてくれた
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