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むかつく
若葉ちゃんが満足そうに俺の隣に腰を下ろす
ニコニコして手に提げてた袋からたくさんのパンを取り出してた
………
何故か自然と一緒にご飯を食べてるみたいになってしまう
「……なんで俺がいるってわかったの…?」
何となく気になってそんな事を聞いてみる
「匂いがしたッス!!ノア先輩の匂いッス!!」
……匂い…
若葉ちゃんは何がそんなに嬉しいのかにぱっと笑って答えた
匂い…って…ホントに犬みたい…
はぁっとまた小さくため息をついた時には若葉ちゃんはもう自分のパンをむぐむぐと頬張っていた
なんてことないただのパンだけどそんなに嬉しそうに頬張るからちょっとだけおいしそうに見える
顔を上げた若葉ちゃんの口元にはべったりとソースが張り付いていた
「……ついてるよ…」
「…!!ありがとうございます!!」
「………うるさい…」
若葉ちゃんの口元を拭ってあげようと手を伸ばす
ぷにぷにした子供みたいな唇に手が触れてむにゅっと若葉ちゃんの唇の感触がした
……………
不本意だけどあの日の事を思いだしてしまう…
くふくふと声を押さえて体を震わせて蕩ける若葉ちゃん…
何故か最近あの日の事を良く思い出した
……むかつく…
ぐいっとちょっと乱暴に若葉ちゃんの唇を拭いた
でも若葉ちゃんはニコニコしたままだ
ほんとむかつく…
そのままそっぽを向く
不快だ…
最近若葉ちゃんの顔がちらつく…
ここ数日はとうとう行為の最中にさえちらつくようになった
そのせいで誰に抱かれても誰を抱いてもすっきりしないしイライラする
ぐーっと目をつむって記憶から消すように無心になってく
やっぱり今日もお兄さんに抱いてもらおう…
飛び切りイケメンの飛び切りうまそうな人に…
そうすればきっと若葉ちゃんなんて…
「あ!!レタスが落ちたッス!!」
「………」
人が一生懸命記憶から抹消しようとしてるのに当の本人は呑気な物だった
……むかつく
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