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特別みたいじゃん
こうして俺は若葉ちゃんと花火大会にdateに行くことになった…
「………」
dateなんて何度もしたことがある…
美人なお姉さんやお金持ちのおじさん…大好きなpapaやmamaともしたことがある
皆いっつも俺が着て行く服をオシャレだねって褒めてくれたし皆俺が選ぶ場所も良いね素敵だねって言って楽しそうにしてくれた
俺だってオシャレだって思ってたし良いとこ選んでるって思ってた
だから今回だって…
「……あーもう!!全然決まんないんだけど…!!」
ばさっと両手に持ってた明るい水色の浴衣と暗めの赤い浴衣をベットに放り投げた
床には大量の下駄が箱から溢れててベットやソファには一度着て放り投げた浴衣や甚平や帯なんかが引っ掛かっている
机の上にはきらきらしたいろんなjewelryが散らばってた
「はぁ……もう別にいいじゃん…いつもみたいに適当で…どうせ若葉ちゃん似合ってるとか言わないんだしさ…」
色とりどりの浴衣の上に寝そべってため息をつく
いつもは手に取った服を着て、鏡の前に立ったら鏡に映った自分が世界一可愛くてかっこよくてNo.1に見えるのになんでか今日は何着てみても満足できなかった
ああでもないこうでもないってかれこれもう1時間半ぐらい浴衣を選んでる
こんなの変じゃん…なんで若葉ちゃん相手にこんな悩まないといけないの?
「あ~もう…」
ぼふっと大きな枕に顔を埋めた
「いいじゃん…若葉ちゃんなんて…適当で…」
そう何度も口に出して自分で言い聞かせてるのにいざ適当に選んだらもうちょっとだけってちょっとでも良くしようとしてしまってそんな自分に気付いて恥ずかしくなってってそんなのの繰り返しだ…
「こんなのまるで…」
若葉ちゃんが特別みたいじゃん…
「ッ!!」
そう口に出しかけて口をつぐんだ
違う!!別にただの気まぐれだって…
いつも皆ちやほやしてくれるから…そうじゃない若葉ちゃんがちょっと珍しく感じるだけだよ…!!
熱くなる顔を押さえてベットに転がった
………………
散々ごろごろして冷静になってベットの天蓋を見つめた
「はぁ……服、さっさと選んじゃお…」
この後、散々この一連の動作を繰り返して夜も更けきったところでやっと着て行く浴衣を決めてベットに入った
でもまたここでも寝れなくて若葉ちゃんが特別みたいじゃんってごろごろ転がって寝不足になったのは秘密…
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