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ノア先輩と一緒
「ノア先輩ノア先輩!!おめんッス!!おれおめん買うッス!!」
「……はいはい…」
「ノア先輩ノア先輩!!おれ綿菓子欲しいッス!!」
「…はいはい…」
「ノア先輩ノア先輩!!今度はあっちの射的が……」
「………」
若葉ちゃんがきゃんきゃんと嬉しそうに騒いで走ってく
もうすでに頭にはお面、手にはわたあめの袋、そして他にも水風船やらリンゴ飴やらピカピカ光る電気のネックレスやらで若葉ちゃんは相当目立ってた
ばばーっと人の間をピカピカ光る若葉ちゃんが縫って走っていく…
少し遅れて射的の小屋に到着すると若葉ちゃんは若葉ちゃんのお財布らしい柴犬のがまぐちから500円玉を取り出して射的屋さんのおじさんに渡してた
コルクの玉を銀色のお皿に10個乗せている
「あ!!ノア先輩!!射的ッス!!やったことあります?こうやって…ここにこの玉詰めて遊ぶんス!!」
「…へぇ……」
若葉ちゃんが放ったコルクの玉はぽこんっと音を立てて上の方の段にあるゲームソフトに当たって力なく地面に落ちて行った
ゲームソフトはほんの少しだけゆらゆら前後しただけで倒れたりはしなかった
「あれ?やっぱ難しいッス!!」
「………」
若葉ちゃんがえへへっとこっちに笑顔を向ける
ほんのちょっとだけドキドキしなくもなかった
……射的…か…
実はすごい小さいころpapaと一緒に日本のお祭りに来たことがあった
その時小さかったおれにpapaが射的を見せてくれた気がする…
まぁ、papaはseasonになったらhuntingもするから俺とmamaにたくさんのお菓子やおもちゃを取ってくれたのを覚えてる…
………こんなのただも遊びだもの
「若葉ちゃんちょっと貸して」
「…?ノア先輩もやるんスか?いいッスよ!!コツはっすね~景品の上の方を…」
「………」
若葉ちゃんが言い終わらないうちにターンッっといい音がしてさっき若葉ちゃんが落とし損ねたゲームソフトが棚の向こう側に落ちて行った
…フン…簡単……
『はい、ありがと』ってゲームソフトと一緒に若葉ちゃんにおもちゃの鉄砲を返すと若葉ちゃんはキラキラした目でこっちを見てた
俺から受け取ったゲームソフトをギュッと胸に抱いている
「ノア先輩!!す、すごいッス!!かっこいいッス!!」
「……簡単だよ…おもちゃだし…」
「もっとやってほしいッス!!おれこんどはあっちの怪獣の貯金箱が欲しいッス!!」
「………」
若葉ちゃんがぐいぐい俺の浴衣を引っ張った
これじゃ親子か何かみたいだ…
俺の事を小ばかにしたように笑う金さんの事が思い出された
イラッとして俺を引っ張ってた若葉ちゃんを逆に引っ張る
「う、あっ…!!」
バランスを失った若葉ちゃんが俺の胸の中にすっぽりと収まった
若葉ちゃんが不思議そうにこっちを見上げてる
「ほら若葉ちゃん、教えてあげるから自分でやんなよ…まずここもって、こっちの手はこっち…あともっとちゃんと的見て…足も肩幅に開いてね?」
「あ、う…ウス…!!」
かぁっと柄にもなく若葉ちゃんの顔が赤くなって少し恥ずかしそうに下を向いた
背中越しに若葉ちゃんの心臓の音が聞こえる…
………これだよこれ…どうだ…!!
誰に言ってるのかわからないけどなんだか調子が出てきた
この調子だよ…!!
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