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自由奔放
「大量ッス!!」
若葉ちゃんが何だか若葉ちゃんと似てるデフォルメされた怪獣が火を吐いている貯金箱を頭の上に乗せて手にもいっぱいの景品やお菓子を抱いて目をキラキラさせながらそう言った
ニコニコして幸せそうだ
「良かったね、いっぱい取れたじゃん」
「ウス!!ノア先輩のおかげッス!!」
「……よかったね…」
ホクホク幸せそうな若葉ちゃんの持ってる荷物を少しだけ手伝ってあげて隣を歩く
あの後若葉ちゃんはしばらくドギマギしてたけどそのうち自分で景品を取れる面白さの方が勝っちゃったらしくてすぐいつもの調子に戻ってしまった
久々になんだか俺も楽しくて500円払って若葉ちゃんと射的をした
途中で弾であるコルクを追加してくれる缶を落としてコルクを補充しながら景品を獲得していって最後の方はもう屋台のおじさんに追い出されるように出てきた
その後も若葉ちゃんがくじ引き引くのに付き合ったり、一緒に金魚掬ってみたりしてなかなか楽しくお祭りを過ごしてた
もうすぐ時間的には花火の上がる時間になろうとしてた
「ちょっと疲れたッスね…」
「そうだね…休憩しよっか…」
そう言ってどちらからともなく道のわきにあったベンチに腰を下ろした
若葉ちゃんが調子に乗って特に欲しいわけでもない景品もいっぱい落とすからいつの間にか大荷物だ
でも若葉ちゃんに聞いてみたらあとから健斗に分けてあげたり猛の兄弟にあげるつもりらしいから最終的にはコレの半分以下になる予定らしい…
はーっと息をつく若葉ちゃんは足をぶらぶらさせて周りをきょろきょろと見回してた
その向こうでたくさんの人が行き来してて若葉ちゃんの顔に少しだけ薄明るいオレンジの光があたってちょっとだけ綺麗だった(もちろんだけど若葉ちゃんがじゃなくて雰囲気が)
「ちょっと俺飲み物買ってくるね…」
「おれイチゴラムネがいいッス!!」
「えー…若葉ちゃんの分も俺が買ってくるの?」
「お願いします!!おれ荷物いっぱいで動けないッス!!」
「……はぁ…都合良いなぁ…」
「ウス!!あざっす!!」
「…褒めてないよ……」
そんな会話を残して近くのお酒のつまみなんかと一緒にソフトドリンクを置いてる屋台に向かった
ちょっとだけ浮かれてなかったって言えばうそになる…
なんだか楽しかったし、いつもは感じれない充実感みたいなものがちょっとあってなんだか俺らしくはなかったけどそれが心地よくていいなって思ってしまった
だからこんなに運悪く再開してしまったんだと思う…
「あれ?ハーフくん?久しぶりだね~?」
「………!!」
「そんなに嫌そうな顔しないでよ~傷つくなー」
「………金さん……」
そこには頭にタオルを巻いて口笛なんて吹きながら軍手で焼き鳥をひっくり返す金さんがいた
相変わらずにたにた笑っていてせっかく上がってた気分がすぅっと冷静になっていった
こんな時…しかも若葉ちゃんといる時になんて…
ツイてない…
さっさと立ち去りたくて氷水の中に浸かっていた緑茶と体に悪そうなピンク色のラムネを取って金さんとは別の人に渡して会計を済ませる
でも金さんは俺が買った飲み物まで目ざとく見てたみたいですぐに掴まってしまった
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