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ビー玉の思い

「ほら、若葉ちゃん、イチゴのラムネね」 「……ウ、ウス…アザッス…」 「…?」 「………」 何とかノア先輩より先にベンチに戻ってくることができた 先輩には怪訝そうな顔をされたけど多分ばれてはないッス ノア先輩から結局普通のが良いって言えなかったイチゴ味のピンクのラムネを受け取った ビー玉を落として黙って飲む 炭酸一気に飲めないからちょっとずつッスけど… ちなみにラムネに入ってるビー玉は本当はエー玉って名前でちゃんと大きさが規定のサイズに収まってるのの事らしいッス それ以外がB玉… 要するにビー玉はB級の玉ってことらしいッス 昔猛さんがラムネを売る屋台でバイトしてた時に教えてくれた モヤモヤの理由もわかんないんじゃおれもまだビー玉ッス… そんな事思いながらチラッとラムネのエー玉みたいな青い目のノア先輩の方を見るとっはぁ…っと息を吐いてノア先輩がペットボトルから口を離したところだった きっとノア先輩はエー玉ッス… 先輩の唇はぷるっと瑞々しく濡れている ………… さっきのキスシーンがまた脳裏をよぎった モヤモヤが戻ってきて苦しいみたいな痛いみたいな嫌な気分になる 「………」 「…!!」 するとちょうどそこでこっちを向いたノア先輩と目がばっちり合ってしまった 大慌てで目を逸らしてラムネをぐいっと煽る …!! カッと喉が熱くなった 「ゲホッ!!げほげほっ!!うぇー…」 「汚いよ若葉ちゃん」 「あい…ずびばぜん…」 「……ほら、ハンカチ…」 「…あい……」 ぼたぼたとイチゴのラムネを地面にこぼしてたらノア先輩がハンカチをくれた やざじいッズ… ハンカチからはほんのりノア先輩のいい匂いがした 先輩ははぁっと溜息をついてからベンチに座りなおす どうしても金さんとノア先輩の事が気になった でもそれを聞いてしまったらさっきこっそり盗み見てたのがばれてしまう もしかしたら内緒にしてるのかもしれないのに… それでも気になってでも聞けなくて結局ノア先輩の横顔を眺めるしかなかった そしてそうこうしているうちにノア先輩が立ち上がって持っていたペットボトルを投げてゴミ箱に捨てた 「若葉ちゃんそろそろ行こ?花火、良いとこで見たいでしょ?」 「え…あ、う、ウス…」 ノア先輩はずんずん進んで行く ………… どんどんモヤモヤする… ノア先輩に金さんとお付き合いしてるんすねって一言言えばいいのにそれが出てこなかった またじーっとノア先輩を見つめるしかなかった

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