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ちっこいお風呂
「………はぁ……」
深くため息をつく
「はぁぁぁ……」
肺から全部空気が出て行くほどの大きくため息をついた
「まな、どしたん?深呼吸?」
「ちがう!!」
ご機嫌な銀が俺の肩に頭を乗せてきた
お前のせいだっ!!
俺を抱き込むように座ってる銀の腹に肘を振る
でも水の中だからなのと単純に力が出ないのとで大したダメージにはなってないみたいだった
「ほんと最悪……」
「なに?なんで?まな物足りんかったん?」
「ちがう!!」
再度銀にダメージにならない肘鉄を食らわせる
今は銀の触ってはいけないルールが解除…もとい強行突破されてから一夜明けて銀と二人で俺の家の風呂に入ってた
狭いんだよ…銀がでかいから
湯船からはみ出た肩やひざを見て思う
銀も少しはみ出た方が寒いらしくぷるっと体を震わせた
「んー…まなん家風呂もちっこいなぁ…」
「別々に入れば狭くねえんだよ…」
「だってまな全然動けんから一人で風呂入ったら溺れる思うて一緒に入ってあげとるんやろ~」
「………誰のせいだと思ってんだよ…」
「まながえっちだか…」
「ちがう!!」
俺は怒ってるのに銀はニコニコ楽しそうにしていた
ほんっと…腹立つ!!
学校もまた休んじゃったし…受験生の自覚あんのかこいつ…
今朝俺が起きたのは昼の12時を回ったぐらいだった
俺はぐっすり眠りこんであまりにも起きないものだから先に起きて俺が自然と起きるのを待っててくれてた銀が起こしてくれた
でもその時点で学校に行ってももう相当遅刻だったし、そもそも体がくたくたして立てなかったから今日は学校に行くのを諦めてとりあえず風呂に入ることにした
それもこれも全部こいつがあんなにヤリまくったせいだ…
ぼんやりとしか残ってない昨日の夜の事を思いかえす
自分の恋人に電車で痴漢するやつがどこにいるんだよ!!
銀を睨んでみたけど銀は俺の髪の毛で遊んでて気づきもしてなかった
「ホント最低だ…」
「…?…やからまなもし物足りんかったんやったら今からでもしたるって……」
「ちがう!!」
………ほんとバカ…
はぁ…っと溜息をついて銀に攻撃するのも諦めた
構うだけ体力の無駄だ…
そう思って目をつむる
でも良く考えれば銀が何もしないわけなくて…唇に何かが触れた
目を開けるとぺろっと自分の唇を舐めるいたずら好きの子供みたいな表情を浮かべた銀がいる
声にならない叫び声が出た
「ぎんっ!!」
「ん?なぁに?」
「お、まえ…ほんとに…」
「あ、もしかしてべろちゅーのが良かった?」
「!?そんな事言ってない!!」
「ほらべろちゅーしたるから静かにしや、腰に響くで」
「言ってないって言ってるだろ!!」
この後もこんな風にやたらべたべたとくっつきたがる銀を動かない体でたしなめるのに苦労させられた…
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