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杉田家母

もう9月も後半になってきた頃それは起きた… 「あー…まなん家行くの楽しみやなぁ~」 「………ついこの間も来てただろ…」 「それってまなが電車で痴か…」 「言わなくていい!!」 いつもの調子で銀の方を小突いて歩く あの日以来なぜか銀は俺の家の狭いベットと狭い風呂…って言うか銀の家のがでかいだけだけど…とにかくあの風呂とベットが気に入ったらしく何かと俺の家に来たがった あれ…なんて言うか狭いと銀とくっつかないといけなくなってなんか恥ずかしいんだよな… 「ええなぁ…オレもベット買う時シングルにしといたら良かったなぁ?」 「……うるさい…贅沢言うな…」 「でもまなやってこのあいだシングルの時オレにくっついて満足そうにしとったやん?」 「………知らない…」 「まな照れとる、かーわええ~」 「…………シングル買って足はみ出て風邪ひけ…」 「なんでそう言う事言うん!?」 そんな風に銀と雑談したりふざけたりしてるうちに俺の家に着いた 俺の家はちょうど10年ぐらい前、俺が小学校に上がるときにローンを組んで父さんが買ったものだ それまではずっと転勤を続けていて俺や母さんも父さんについて行ってたんだけどちょうど俺が小学生になった時にこの家を買って父さんが単身赴任するって言う形になった まぁなんで小学生の時にその形に変更になったかって言うのは…その……いろいろあったんだけど今回は省いとく とにかくそうして俺はこの家で小学生時代と中学生時代を母さんと月に一回ほど帰って来る父さんと過ごしてそして高校に上がってからは一人で過ごした 高校に上がって一人になったのは母さんが『学も大きくなったし私もお父さんについて行きたいわぁ』なんて言い出したからだ 俺の両親はなかなか仲がいいらしい 俺だってもう母さんがいないと何もできないって年でもなかったし近所には健斗と健斗の両親だって住んでたから結構あっさり俺の一人暮らしが決まった 今でも両親は月に一回ぐらいの頻度で帰って来るし別に大きな不満もない むしろ今は銀がこんな調子だからこの方がありがたい… あ、良く考えたら銀うちの親にあった事無いよな… そんな昔の事なんかをぼんやりと思い出しながら家の鍵を開けて家に入った 家に入るなり靴も脱がずに銀が俺の肩に頭を乗せて体重を掛けてくる 「ふふー…まーな♥」 「…おいやめろって…玄関だぞ……」 「別にオレは気にせんもん」 「俺は気にするんだよ…」 俺はすっかり銀に気を取られてしまっていた だから玄関に月一回だけ戻ってくる靴が二つ並べられてるのにも気づいていなかった 「あら、学?帰ったの?あらー、そっちの子はお友達かしら?今の子は可愛い頭してるのねぇ」 「!?」 「!?」 「あ、そうだ、ちょっと学聞いて?このあいだねお父さんの会社に新しく人が赴任してきたんだけどそれがあの山下さんだったのよ~、ほら、学覚えてないかしら?小さい時一度山口の方でもお父さんと一緒になった事があってよくかわいがってもらってたじゃない?」 「………」 「………」 「あ、立ち話も悪いわね、ごめんなさい気が利かなくて~、ほら学後でお菓子持っていってあげるから上行っときなさい上!!」 「か、母さん…?」 「何言ってるの学?お母さんよ~、あ、もしかして綺麗になっててわからなかったかしら?そうなのよ~実はねまつ毛パーマっていうの?してもらったのよ~」 「母さん!?」 「そんな驚くほど変わったかしらねぇ~」 銀はノアが転校してきた初日並みの驚きの表情を見せていた 何でも無いようにひょこっとリビングの扉から顔を出したのは俺の母さんだった…

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