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紹介の仕方
「………」
「………」
「………」
「まーな?」
「……んだよ…」
「なんでご機嫌斜めなん?機嫌直して?」
「……別に…機嫌悪くなんかない…」
「嘘やん」
まなはさっきからかたくなにオレと目を合わせようとしない
耳もぴくぴくしすぎやし…
部屋の隅っこに座って唇を尖らせて明らかに不服そうな顔をしてた
これで機嫌悪くないなんてよく言うわ…
まなの傍まで歩いて行ってまなの正面に座る
まなはまた逃げるようにぷいっと目を背けてしまった
「なぁまーな?」
「………」
「どしたん?オレなにかまずい事したん?」
「……別に…」
またまなの耳がぴこぴこ動く
こういう時に限ってはホンマ便利や
「嘘、なに?言って?」
「…………」
「まな」
「……………」
まなはまだ言おうとしない
あともう一押し二押しすれば言いそうやけどオレには全く何の心当たりもなかった
笑顔も、自己紹介も、完璧やったと思うんやけどな……
もしかして久々の家族水入らずを他人のオレに邪魔されたくなかったんやろか?でもやったらこんなにかたくなにだんまりする必要もない
それになぜかまなの頬はうっすら赤かった
まなはきょろきょろと落ち着きなく視線を泳がせていた
まなの指に自分の指を絡めて顔を寄せる
もうお互いの鼻がくっつきそうな距離だった
でもまだまなは目を合わせない
「まな、教えて?」
「……ちゃんと言うつもりだったのに…」
「…?…何を?」
「……………」
「まな?」
まながまた顔を真っ赤にして黙り込もうと目を伏せかけた
名前を呼んで手を揺すってちょっと強引に視線を合わせようとしてみる
やっとまなと目が合った
再度小さくまなを呼ぶ
「……銀、の…こと……ちゃんと、こ、こ、こい、びと…って言う…つもりだった……」
「………」
「……そ、それだけ…」
まなはそこまで言うとパッとオレの手から手を離して耳まで真っ赤な顔を背けてしまった
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