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杉田家息子の友人
次の日……
「ただいまー…」
「お邪魔します」
「学ママー!!ただいまー!!」
「…お邪魔します…」
「あらあらぁ…今日はいっぱいねぇ…」
赤いエプロンをつけた母さんが母さんが頬に手を当てて笑いながら俺らを迎えてくれる
母さんと父さんのことを健斗に何の気なく言ってみたら二人が久々に帰ってきてしばらく会ってないせいか健斗が急にうちに来ると言い出した
猛は遠慮してたのを健斗が無理やり引っ張って来てた
かわいそうに律儀だから急な訪問を申し訳なく思ってさっきから頭を下げまくってる
健斗はまるで我が家かの如く上り込んで猛にスリッパを出してた
別に猛にスリッパ出しちゃいけないとかそんなことないけど俺の家だからな…
銀は今日も相変わらずめちゃめちゃ良い笑顔をぺったりと顔に貼りつけて母さんに深々と頭を下げている
この笑顔も猛がいつも以上に怯えている原因の一つだった
しかも今日はご丁寧に駅の構内で一粒200円ぐらいもするようなたっかいチョコレートをお土産に買って来ていた
「お邪魔します、連日すいません、あとコレ…」
「あらあら頬付くんいらっしゃい、いいのよ~こんなものまでいただいちゃって…おうちの中にぎやかだと楽しいわ」
「ねぇねぇ!!学まま!!学まま!!おれだよ!!」
「あらぁ…健斗くん、久しぶりねぇ…相変わらず可愛いわ」
「ありがとう!!あのね、こっち、猛って言うの」
「あらぁ…この子も大きいわぁ…」
「………突然スイマセン…その手土産も持たずに…学さんや紺庄先輩と同じ学校の二年の吉田猛っていいます…」
「律儀ねぇ~いいのよいいのよそんなの、それにしても…学がこんなたくさんお友達連れてくるなんてね~……もう何年も健斗くん以外のお友達見たことなかったわ」
「……やめてよ母さん…」
ガヤガヤと一気に家の中がうるさくなって母さんは嬉しそうに微笑んでる
人見知りの父さんはリビングの扉から顔を半分だけ覗かせてこっちを見ていた
でも健斗がそんな父さんを見つけてててて…っとそっちに近付いて行った
「学ぱぱだ!!久しぶり!!」
「!!……け、健斗くん…いらっしゃい……」
「ねぇねぇ!!見て見て、猛って言うんだよ!!」
「あ…その…お邪魔します…」
「…い、いえ…あの…お構いなく…」
二人ともお互いに深々と頭を下げている
なんだか会社の取引とかそう言う感じだ…見たことないけど…
健斗だけが二人の間でニコニコしていた
一方母さんは銀に言われたお世辞を真に受けてうふふっと嬉しそうにしていた
銀も銀で…俺の母さんなんかにそんな色気使ったって何にもならないだろうに…
こうして我が家ではその日小規模なパーティーが行われることになった
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