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杉田家のお客様

「あら猛くん上手だわ!!すごくおいしそう…」 「……兄弟たくさんいて良く作るんで……」 「あら、何人兄弟?」 「女4人男3人の7人兄弟です」 「あらぁ~それだけいるとおうちもにぎやかでしょう?いいわねぇ~、ほら、うちには学しかいないから…それに学もおとなしい子だったし……まぁ、人一倍泣く子ではあったけど…」 「……やめてよ母さん…」 キッチンではせめてもと母さんの料理を手伝っていた猛と母さんが意気投合して話している 猛は料理を褒められて心なしか嬉しそうだった ………ちなみに俺はそんな泣き虫じゃなかった……はず… 向こうでは健斗が父さんにじゃれついていた 「ねぇ、学ぱぱ?学ぱぱ会うの久しぶりだね?元気してた?おれはね元気だよ?」 「あ、あぁ…」 「?元気?ねぇ学ぱぱホントに元気?元気なくない?チョコレート食べる?」 「い、いや…あとそれは頬付くんが…」 「いいの?おいしいのに…」 「………」 まず会話が成り立ってない… 父さんは健斗との会話にこまってこっちに助けを求める視線を送ってきていた 無言でゆるゆると首を振りかえす 健斗は銀が持って来たチョコレートを幸せそうに摘まんでいた 「先輩、ほどほどにしないと晩御飯食べれなくなりますよ…」 「ふふふ、猛クンお母さんみたいね」 でも猛にそう言われると健斗はハーイと素直な良い声で返事をしてチョコレートをしまった 健斗がキッチンの方に移動して行って一気ににぎやかになる 昨日の事で勝手に親の前で銀といるのが気まずいなんて思って変に身構えちゃってた俺にはこの雰囲気がありがたかった 銀とのことはまた何度でも言う機会あるもんな… 銀も焦らなくていいって言ってくれたし… そんな事を思いながら隣に立つ銀を見上げる 今日も変わらずニコニコと笑顔をふりまいていた 『俺も手伝います』なんて好青年ぶって銀もキッチンへと入っていく ……………こいつもこんなだし… しばらくすると猛と母さん(と若干健斗と銀)の作った料理が完成して晩御飯が始まった 机には唐揚げ、エビフライ、ミニハンバーグ、グラタン、サラダ、スープ等々豪華…って言うかボリューミーな料理が並んでいる 『少し作りすぎました…』と恥ずかしがる猛を健斗はキラキラした目で見つめていた 『待て』をされてる犬みたいだ 「じゃあ…せっかくだし冷めないうちにいただきましょうか!!…いただ…」 「いただきま~す♪」 母さんがそう言うが早いか健斗はすぐに食べ物に箸を伸ばしていた あっという間に最初の唐揚げが健斗の口の中に消えて次々と健斗は箸を進める 母さんはにこにこして健斗の食べっぷりを観察していた やっぱりいつも父さんと二人でご飯を食べているからなのか母さんは健斗がおいしい美味しいって言うたびに嬉しそうな顔で微笑んでいた

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