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爆弾発言
「あー!!おいしかった!!学まま、猛おいしかったよ!!ごちそうさま!!」
「ふふっ、おそまつさま」
「……ウス…」
「ふふー」
心底嬉しそうにする健斗に母さんがニッコリと笑いかけている
それは銀や猛に言われても同じでいつもよりも嬉しそうに見えた
鼻歌なんて歌いながら皿を洗っている
もしかしたら母さんは日頃俺がそばにいないことを寂しく思っているのかもしれない
そう思うとなんだか自分がひどく親不孝に思えた
そもそもは俺のワガママで別居…って言うかこういう形を取ってるわけだし…
それに俺は二人に孫の顔を見せることができないかもしれない…
悶々とする
その上俺は銀みたいに特別容姿が良かったり猛みたいに人一倍堅実に努力してるかって言われたらそうでもない…
なんだか悔しかった
自分の皿を流しまで運ぶ
「か、かあさん…!!」
「…?なあに?学?」
「あ、あのっ…!!あの…」
「…?」
思いのほか大きい声が出て声がひっくり返った
母さんは首をかしげてる
「お、おいしかった、よ…!!」
「!!…………ふふっ…」
母さんは一瞬びっくりした顔の後にスッっと目を細めありがとうって言った
突然母さんの手がのびてきて頭を撫でて行く
なんだかむずがゆい…
でもなんだか胸のところが暖かくなった
「猛も、おいしかった…」
「…あざッス…」
ちょっと気分がよくて照れくさかったけど猛にもそう言った
猛も照れくさそうに首を掻くいている
そこに母さんも口をはさんだ
この会話が我が家に新たな波紋を広げることになる…
「でもホントに猛くんの料理…おいしかったわ~いっぱい裏ワザ教えてもらっちゃった」
「でしょでしょ?猛のご飯おいしかったでしょう」
「ええ…猛くんが女の子だったらうちのお嫁に来てもらうのにね~…」
「……!!……だ、だめだよ!!猛はオレのお嫁さんだからだめ!!」
「!?」
「!!」
「せ、先輩……!!」
「?」
突然の健斗の発言に銀までもが一瞬驚いた顔になった
母さんは頭に?を浮かべ、父さんは我関せずとソファで新聞を読むふりをしてたけどちょうど動きが止って動かなくなっていた
健斗だけが周りの異変を不思議がってキョロキョロしていた
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