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本間つばめちゃん似の彼は

結局あれから母さんの誤解が解かれることはなくなぁなぁなままその日の小パーティーはお開きになってしまった 後日校舎裏に集まった時に思わずため息が漏れる なにせ母さんはあの日からずっとるんるんして、ことあるごとに俺のいもしない架空の彼女について聞いてきた 『学校の子?』とか『可愛い子?』とか『これ向こうのお菓子なんだけど持っていったら食べてくれるかしら?』とか『もしかして本間つばめちゃん似?』とか… 挙句の果てに今朝なんて父さんに『……避妊だけはちゃんとしなさい…』なんて言われた…実の親にそんな事言われるとか正直死にたい… ……そもそも俺の恋人には本間つばめちゃんの要素なんて微塵もないし避妊の必要もない…と言うかそもそも俺は…したことがない…その………挿れる側を… それらを思い返すとまた深いため息が漏れた 「はぁ…どうしよう…」 「ねー!!なんで学銀と付き合ってるって言わなかったのー?言ってないの?」 健斗が不服そうにぷぅっと頬を膨らませて文句を言う 多分健斗的には本当に好きで付き合ってるなら親に言うことなんてなんでもない事なんだろう… 健斗の両親を思い出してみた… お母さんはともかく…あのお父さんはなぁ… なんでなんでーっと健斗が騒ぐ 健斗は昨日自分を残して周りが変な雰囲気になった事がまだ不満みたいだった 「当たり前だろ…」 「なんで?」 「……ほら、先輩それは…あの…」 「なんで?猛は猛のパパとママに言ってるじゃん」 「それは…そうですけどそれはちょっと特殊で…」 「おれだってパパとママに言ってるもん」 「そうですけど…」 猛が必死に健斗をなだめようとしてくれている 健斗は真剣に付き合ってるはずなのに親に言えないなんてって俺にイライラしてるんだ… きっと健斗は純粋だから余計に… でもその辺健斗が間違ってるってわけじゃないから黙って健斗にイライラをぶつけられとく… って言うか…猛親に言ってたんだな… 猛の親ってどんななんだろう… 後から聞いたけどたまたま猛の家に両親がいる時に健斗が来て健斗本人が自己紹介の時に猛と付き合ってると言ってしまったらしい 多少の話し合いは持たれたけど今は認知されているとか… 俺の後ろで俺の背にぐでっとだらしなく体重を掛けていた銀は俺の家で本間つばめちゃん似の俺の彼女と思われている張本人のはずなのに一番危機感がなさそうだった 「おい銀…聞いてんのかよ…」 「んー…聞いとる聞いとる…本間つばめちゃんな、かわええよな?」 「………」 しかも話聞いてないし… 猛はまだ健斗を説得するので手一杯だった そう言えば銀の親はどんな人なんだろう… 海外で生活してるって言うのは知ってるけどどんな人かまでは知らない… この銀とあの金さんの親ってぐらいだから…きっと両親とも美形なんだろうけど…性格が想像つかない… 銀に聞いてみようかな… 「おい銀…」 「あー…まなあのな?まなのオカンがメールでなー、今日まなのオトンとご飯行くって言うとったんよ、せやから今日久々うちに来えへん?」 「……なにちゃっかりメアド交換してんだよ…」 「まなのメールはきっとオトン似やな、まなのオカンごっつ顔文字つかっとるもん」 「………」 今日の銀はあまり会話する気が無いらしい… 銀の両親について聞く気も失せてしまった 「で、来る?」 「………行く…」 「ふふっ」 銀はにこにこして俺の頭を撫でた その顔が無邪気に見えて文句も言えなくなる 「あ、あとなまな」 「…なんだよ、まだなんかあんのかよ…」 「別にな、オカンにオレと付き合うとるっていうの、ナイショのままでもええんやからな?」 「!!」 「別に本間つばめちゃん似の彼女と今は付き合うとるってことにしとってもええんやで?そらいつかはオレと付き合うとるって言うて欲しいけど『いつか』でええねん」 そう言って銀はまた俺の背に背を預けてだらしなく寝そべった ……聞いてたのかよ… 一気に顔が熱くなった 「あれ?学真っ赤だ!!なんで?どうして?」 「うるさい!!」 「なんで怒ってるの!?」 しばらく顔から熱が引きそうになくて、俺の背中から銀に鼓動の音が伝わってしまわないか余計にドキドキした

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