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実はね…

「お、おれっ!!銀と付き合ってるんだよ!!」 あ、あれ…? 「………」 「………」 「………」 シーンと沈黙が流れる 頬を冷たい汗がつーっと流れて行ったような気がした 俺…今なんて言った…? 母さんは目を大きく見開いてこっちを見ていて父さんはかちーんっと固まってしまってた 始めに口を開いたのは母さんだった 「え…っと……?だ、誰かしら…?ま、まさか頬付くん…じゃないわよね…」 「…え…あ、っや…えーっと……」 「お、同じ名前なんて、珍しい…わね…?」 母さんは引きつった顔ではははってかわいた笑い声をあげていた ど、どうしよう…… 俺も顔が引きつっていたけど笑えなかった ここで笑ってしまったら俺が付き合ってるのはあの『頬付銀』ではないってって言ってしまうようなものだ 今後ますます言い出しづらくなってしまう でもこの空気は… ゴクリっと唾を飲んだ ホントは学校でだって親にだって言いたいはずなのに俺に合わせて無理に言わなくてもええんよって言ってくれた銀の顔が浮かんだ ……ダメだ… キュッと服の裾を握る 銀がいいよって言ってくれるからって銀に甘えて我慢させてばかりじゃダメだ… ギュウッと拳を強く握りなおして母さんをまっすぐに見つめた 母さんは引きつり笑いをやめてまたびっくりしたような表情に戻った 言うんだ…!! 「あ、のね……母さん………その、何となくわかってるのかもしれないけど銀だよ…あの銀と付き合ってるんだよ…」 「………えっと…お友達…としてじゃ…」 「そうじゃなくてね、恋愛感情で付き合ってるんだ……その、あんまり考えたことなかった…けど……ゲイ、とか…ホモとか……そう言うの…なんだと、思う……」 「……………」 「その…母さんたち…が期待、してたような…恋愛じゃ、なく…て…ごめん……」 「……………」 だんだん母さんたちの顔が見れなくなって最後はうつむいてしまった 母さんたちは何も言わない 「………」 「………」 「………」 しばらくの間沈黙が続いた

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