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世間体が悪くても
「……ッズ…ズズッ…」
「…落ち着いた?」
「………ん…」
しばらくぽろぽろ泣いて喋ったらまなは落ち着いた
目や鼻を真っ赤にしてちょっと恥ずかしそうにしていた
「…………まな…ありがとな……」
「…?」
「わざわざ言ってくれたんやろ?オレのために…」
「………」
「…嬉しい」
「………うん……」
そう言ってまなのしょっぱい目元にキスするとまなはまた目を潤ませて泣きそうになった
「母さんにね…良く考えなさいって言われた…」
「うん?」
「……銀男だし…俺…も男…だし……世間体…悪いって…たいへん、だ…って…」
「……せやなぁ…」
「でも…ね…」
キュッとまながオレの服を強く握って少しうつむいて言った
「……おれ…ね……好きだよ………えと、あの…世間体が悪く…ても……たいへんでも……銀の事、好き…だよ…」
「……………ん…オレもやで……」
「………うん…」
恥ずかしがって顔を見ようとしないまなのおでこにもキスをした
好きやなぁ…
改めてそう思った
もう一度まなの頭にキスを落とす
「………オレもまなの事が好きやで…」
「…うん……」
まなはオレの首元に顔を埋めてじっとしてた
でも問題はまなとまなのオカンとオトンや…
何にも解決しとらん…
このままやったら別れさせられたり会えんくなったりするかもしれない…
そんなのはやっぱり嫌やった
それにまなのオカンの言うとることやって間違ってはいない
男が男を好きなんて一般的には普通やないし世間体は悪いしそれこそ大変や
きっとどこの家の親やって自分の息子が男と付き合うとるって言い出したら同じことを言うと思う
でもきっとまなは素直やないからもちろんオカンの言い方なんかもあったのかもしれんけどそれを素直に受け取れなくてカッとして怒鳴ってしまったんや…
で後になって後悔しとる…
………ちゃんと仲直りしてもらわな…
ぽんぽんっとまなの頭を撫でながら大きく息を吸った
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