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にっこり

「へぇ、じゃあ学さん、頬付先輩との事ご両親に認めてもらえたんスね…」 「……うん、まぁ…一応…俺の方のには…」 猛がおめでとうございますなんていつもの調子で頭を下げた 今日は父さんと母さんが明日仕事で社宅の方に戻るって言うからその行ってらっしゃい会みたいな感じで俺の家にまた集まることになってた 母さんが最後にどうしてももう一度パーティーしたいって言い出したんだ だから猛はわざわざ家で立派なケーキを作って持ってきてくれた 授業の間は銀が頼んで保健室の冷蔵庫に入れてもらってたらしい ………どうやって頼んだのかは聞かなかったけど…予想がつく… 健斗と銀は向こうで健斗が銀の手のどちらに飴玉が入ってるかを当てるゲームをしていた 健斗は外すたびに銀にむにょーんっとほっぺたを引っ張られて情けない顔になっている そっちにチラッと視線をやってから猛が小声で尋ねてきた 「……………その…どうだったんスか……やっぱり結構大変だったんスか…?」 「……まぁ…ね…」 それを聞いて猛ははははっと苦笑いしたきっと猛もそれなりに大変な思いをしたんだろう ………相手が健斗だしなぁ… 「……お疲れ様でした…」 「……お前もな…」 猛も同じような事を考えたらしく銀を冷めた目で見つめてた その視線に気づいてか銀と健斗がこっちへ寄って来た 健斗は結局最後まで当てれなかったらしく銀に飴ちょうだいよ~とねだってる ……逆にすごいな…二分の一で当たるんだぞ… 銀がのしっと俺の肩に顎を乗っけてだらしなく歩く 結局健斗は猛に飴をねだり出した 「……重い…」 「愛の重みや」 「…………」 「……なんか言ってや…」 銀がぶーっと唇を尖らせて拗ねてるアピールをしてくる 最近母さんたちに認めてもらえたからって調子に乗ってるんだ… 無視… こうやってなんだかんだしているうちに家に着いた ガヤガヤしながら家の扉を開く すると家の奥からぱたぱたと母さんが出てきた なんだか頬を上気させて嬉しそうだった 「…ただいま?」 「ふふー、おかえりなさい、みんなもいらっしゃい」 「おじゃまします」 「おじゃましまーす」 「おじゃまします!!」 皆思い思いに挨拶した 母さんも満足そうだ そしてある一冊の本を俺らに見せて嬉しそうに話し始めた その本を見て一番初めに体をビクッとさせたのはその本に見覚えのある猛だった 「ふふふっ、ねぇ見て学…お母さんねいろいろ勉強したのよ健斗くんと猛くんや学と銀くんみたいな人たちの事ね?そしたら山下さんがこれ教えてくれたんだけど案外面白いのよ~」 「………」 「びーえる?って言うのかしら?なんだかね、少女マンガみたいなのよ~お母さんきゅんきゅんしちゃったわ~」 「………」 その本の表紙には男の人がもう一人の男の人を抱き上げる構図のイラストが描かれていた 如何わしい字体で帯にBL書籍と書かれている …な…何者なんだよ………山下さん… ぎょっと固まる俺と猛をよそに健斗と銀と母さんは何事も無いように楽しくお喋りをしていた 健斗に限っては母さんに本を見せてくれとせがんでる ……これは俺らがおかしいのか…… そして奥から父さんも出てきて一気に家はにぎやかになった 「あ!!学ぱぱだ!!げんきー!?」 「…け、けんとくん……」 「あ……そ…そうだ…これ…ケーキ作って来たんです……」 「あらぁ…立派だわぁ…しかも作ったの?すごいわぁ…」 「あ、オレもまたチョコレートを……」 「あらあらぁ嬉しいわ~…ありがとうございますホントに…」 「…………ふふっ」 なんだか自然に笑いが漏れた ぱちっと母さんと目が合うと母さんもニッコリと嬉しそうに笑った 皆が楽しそうに笑ってた

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