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両親おまけ 紺庄家
時はさかのぼって一月
オレは紺庄先輩の家に連れてこられてた
「猛!!早く早く!!」
「……せ、せんぱい…待ってください…」
どうしよう…
今日突然学校で『あ!!あのね!!ままとぱぱが猛に会いたいんだって!!だからさ!!今日おれの家来よう?彼氏ができたって言ったら二人とも見たいって言われたの!!』って言われてあれよあれよという間に先輩の家まで連れてこられてしまった…
………どうしよう…
急な事だったからお土産になりそうなお菓子(先輩用のいちごみるくの飴はあるけど…)の用意ももちろんないし…しかも金髪ピアス……自分は愛想がいい方じゃないって言う自覚もあるしきっと顔が怖い自覚もある…
……もし10年後に理沙が彼氏だってこんな男連れて来たらオレは間違いなく顔をしかめる…
………人の事言えた義理ではないけど…
とにかくこんな急に先輩のご両親に会うことになるなんて…
もちろん付き合ってる以上いつかきっとそういうタイミングもあるだろうとは思ってた…でもその時にはその日に合わせて髪だって黒く戻すつもりだったしピアスも外してそれなりに奮発してお土産だって用意する気だった……
だって……正直オレは自分の子の彼氏だと紹介されて喜ばれるタイプの男ではないし…
だからせめて第一印象を少しぐらい良くしようと思ってたんだ…
………ピアスぐらい外しとこうかな……
まさかご両親と対面する知らせを当日もらうことになるなんて思っても見なかった……
「ねぇ~たけるぅ…もうずっと待ってるよ?行こうよ~」
「……せ、先輩…き、今日じゃないと…だめ…ですか…?」
「うん!!二人とも楽しみにしてるよ?」
「………先輩…『彼氏』だって言ったんですよね…?」
「うん、そう言ったらままがいえにつれてきなさいって、嬉しかったんだね?」
「………多分それ楽しみにしてないッスよ…」
はぁぁ…っと深いため息が出た
でもこうなってしまったら行くしかない…ココで帰るなんてその方がよっぽど不誠実だしありえない…
「………わかりました……入ります…」
「!!やったぁ!!ほら!!早く行こう!!」
オレがそう言うと紺庄先輩はぱっと駆け出してドアの前まで行ってうずうずしてた
いちおう申し訳程度にネクタイと袖を整えピアスを外した
先輩の隣に立って深呼吸する
先輩はドアのノブに手をかけてキラキラした目でこっちを見てた
きっと父親と母親がホントにオレと会いたいと思ってるだけだと思ってるんだろうな…
なんだかふっと頬が緩んで先輩の頭をぽんぽんっと撫でた
先輩は気持ちよさそうに目を細めて頭を撫でられていた
ふうっと息を吐く
………よし……
先輩に頷きかけると先輩がぱぁっと顔を輝かせてドアノブを握る手に力を掛けた
「ただいまー!!」
「……お、じゃまします…」
「ままー!!ぱぱー!!猛連れてきたよー!!」
家の中に先輩の大声が響き渡った
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