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両親おまけ 紺庄家母
数分後…
ずーっとニコニコしてなんだかほんわかした紺庄先輩のお父さんの智也さんに連れられてお母さんがいるというリビングに案内された
その間も智也さんは終始ニコニコして『カッコいいですねぇ~…』とか『勉強もできて料理もできちゃうって聞きました!すごいなぁ~』とかなんだかたくさんほめてくれた
オレが紺庄先輩と付き合ってるって言う内容については『健斗くんは猛くんの事が大好きなんですよ~』ってこれまたニコニコ言われただけで特にいろいろは聞かれなかった
「あ、この部屋です~」
そう言って智也さんがとととーっとリビングに入って行った
すっかり解れきった緊張で智也さんの後に続く
すると…
ダンッっと突然大きな音がして
智也さんの「きゃっ」って声がその後に聞こえた
オレと紺庄先輩も突然の音にびくっと体が跳ねた
……でも…きゃっ…って…
音がした方には女の人が一人、椅子が四つ置かれたダイニングテーブルの内の一席に片足を椅子にあげて座って煙草をくわえ、その煙草が入っていたであろうケースをクシャっと潰してテーブルの上で拳を握っていた
ジロッとこっち向きに首をまわしてオレを睨み付けている
紺庄先輩が後ろでこそっと『ままだよ』とオレに言った
…やっぱりそうなのか……
派手な色合いで硬そうな金髪をヘアバンドで留め後ろに流したなんだか親近感の湧く外見をした…率直に言えばヤンキーっぽい外見の女の人だった
「………」
「………」
あぁん!?って声がしそうな顔で目を開きオレを睨んで、煙草を吹かしてジロジロとオレを足の先から頭のてっぺんまで見ている
ごくっと唾を飲んだ
あまりにも智也さんとタイプが違いすぎる…
おうおうおう!?っと言わんばかりの勢いで女の人がオレを睨んでいる
……どうしよう…
でもこの沈黙を破ったのはオレでもその女の人でもなく智也さんだった
つかつかと女の人のところに近寄って行って女の人が吹かしていた煙草をパッと取り上げた
それを近くの灰皿に押し付けて火を消してギュッと両手を握って口を開いた
「沙耶ちゃん!!煙草ダメです!!禁煙するって僕と約束しました!!」
「は…はぁ!?」
「このあいだ全部捨てたのにまだ持ってたんですか!?ダメです!!こっちも没収です!!ライターも出してください!!」
「っわ、こ、これぐらい良いじゃんか!!」
「ダメです!!体に良くないです!!」
「け、健斗がこ、恋人連れてくるとか言うから…!!は、初めびしっとしないと示しがつかないだろ!!」
「そんな示しいらないです!!猛くん良い子でした!!」
「まだあって数分じゃん!?」
「でも良い子でした!!」
「どうだか、あんな頭したやつなんてろくでもないのばっかりだよ!!」
「沙耶ちゃんだって同じ色です!!」
わーわーと向こうで智也さんと女の人が言い争ってる
頬付先輩と学さんを見るような…ほほえましい光景だった…
………な、なんだか…思ってた人と違ったな…
紺庄先輩が後ろから『うちのぱぱとままね、仲良しなんだよ』と言った
それもなるほど頷けた
しばらく言い争いが終わるのを待ってるとなんだかだんだん女の人に智也さんが押されてきた
ギュッと手を握ったままなんだかもう泣きそうな顔をして必死に言い返している
もう一度言うけど今年で42歳らしい
「私だってもういい年した大人なんだから自分の事は自分で決められるよ!!」
「で、でも…沙耶ちゃん、先週は絶対やめるって約束して…」
「それは先週の話!!」
「で、でも…煙草、っうぅ、体、に…良くない…からぁ…ヒック…」
「!!」
「!!」
とうとう智也さんはぽろぽろと泣きだしてしまった
さっきまでにこにこしていた目から大粒の涙がこぼれている
女の人はギョッとしてあたふたしだした
ポケットからハンカチを出して智也さんの目から流れ落ちる涙を焦りながら拭いている
「こ、紺庄…な、泣くなよ…」
「…ぼ、くはぁ…沙耶ちゃんが、心配、だからぁ…」
「わ…わかったよ…私が悪かったって…」
「…グスッ……じゃあ、煙草、やめますか……?」
「や、やめるよ…ちゃんとやめるから」
「ホント?」
「ホントホント」
「…………わかりました…」
しばらくするとスンスンと鼻を鳴らしながらも智也さんは泣き止んだ
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