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両親おまけ 紺庄家公認
そして再度仕切りなおしてさっきまで紺庄先輩のお母さん、沙耶さんが座ってた机に智也さんと沙耶さん、向かいにオレと紺庄先輩が座った
智也さんはまたにこにこ笑顔に戻って沙耶さんはなんだか頬を赤くしてばつが悪そうにしている
沙耶さんは今年で38歳らしい
二十歳の時に先輩産んだんだな…
「はい、こちら紺庄沙耶ちゃんです、僕のお嫁さんで健斗くんのお母さんです…えへへ…沙耶ちゃんの作るご飯とってもおいしいんですよ」
「……男だろ、へらへらすんなよ…っていうか紺庄は自分の事話しなよ…」
「沙耶ちゃんも紺庄ですよー?」
「……ふん…」
沙耶さんも照れ隠しでなんだろうけど智也さんは何を言われても嬉しそうに笑ってた
二人とも童顔…というか見た目が若いこともあってか実際の年齢なんかよりもずっと若そうに見えた
先輩がはいっ!!っと立ち上がって手をあげて口を開く
「こちら、吉田猛くんです!!おれのお嫁さんです!!猛の作るご飯もおいしいし、あと頭も良いし、カッコいいです!!」
「せ…せんぱい…」
「わぁ…」
「あ、アタシは認めてないぞ!!認めてないからな!!こんな金髪!!」
「沙耶ちゃんも金髪です、かわいいです」
「かっ、かわいいとか言うなぁ!!」
先輩は智也さんに倣ってなのかオレを紹介してくれた
智也さんは手をぱちぱちと叩いて沙耶さんはまだこっちを睨んでいる
紺庄先輩は沙耶さんの服の袖を掴んで認めてよーとねだってた
……そんなもんでもないだろう…
すると不安そうなオレを気に掛けて智也さんが声を掛けてくれた
「…猛くんは健斗くんのことが好きですか?」
「!!もちろんです」
「ふふふっ…それならいいんですよ、男の子とか、女の子とか関係ないです、健斗くんも猛くんの事が好きなんだからそれが一番です」
「!!あ、ありがとうございます!!」
「それに、ああいってるけど沙耶ちゃんはちゃんと認めてるんですよ?素直にそう言うのがちょっと恥ずかしいだけなんです、恥ずかしがり屋さんなんです」
智也さんがこっそりそう教えてくれた
本当に幸せそうに笑って沙耶さんを見ている
40歳になっても…何年経っても好きなんだなぁ…
なんだかちょっと羨ましかった
オレも紺庄先輩とそうなれたらいいと思った
「ねぇ~ままぁ、いいでしょ~?ねぇ~猛良い子だよぅ」
「それはアタシが決めるの!!」
「猛良い子だもん!!ままのケチ!!」
沙耶さんと紺庄先輩は脇で言い合ってぷうっと頬をふくらまし合っていた
紺庄先輩がオレの腕にぎゅっとしがみついてオレは良い子だと沙耶さんを説得している
………オレは捨て犬か何かか…
こうしてなぜかオレは思ってたよりもずっと早くずっと短い間に紺庄先輩の両親(沙耶さんはまだ微妙だけど)に認められその日は晩御飯までごちそうになることになった
あっけなく終わってしまって紺庄先輩の両親へのあいさつにぽかーんっとしながらキッチンで手伝いをする
智也さんの言ってた通り沙耶さんの作った料理はどれもおいしそうだった
「………それ…」
「え?あ、はい…?」
「アンタが今混ぜてるやつ…」
キッチンに置いてあった調味料の入った小皿の中身をいくつか混ぜサラダ用のドレッシングを作っていたら背後から突然声を掛けられた
声の主は沙耶さんで俺の手元を興味深そうに見つめてる
何もお土産とか無かったしせめてもと思ったんだけど…まずかったか…?
「これ、ですか?」
「何混ぜてんの…」
「あ、ドレッシングッスよね?さっきのサラダの…多分…違ってたらスンマセン…」
「……違わない…」
「?良かったです?」
「……ふん…」
沙耶さんはそう言うと別の皿を持ってとっととキッチンから出て行ってしまった
何だったんだろう?
とりあえず引き続きサラダのドレッシングを混ぜとく
そしてしばらくするとまた沙耶さんが戻って来た
また声を掛けられる
「………アンタ…料理とかするのか…?」
「え?あ、まぁ…兄弟多いし、両親夜も仕事なので…少し…」
「………ふーん…」
そう言うと沙耶さんはおれの持ってたドレッシングを指で軽く掬って舐めた
ふーん…なんて沙耶さんは軽く返事をしてそのまままたリビングに戻りかける
でも途中で俺の方を振り返って少し赤い顔で目線を逸らしたままこういった
「……わ、わるくないんじゃないか…!!」
「あ、ありがとうございます…?」
「…ふん……」
褒められた…?
しばらくポカーンとしてると今度は沙耶さんと入れ違いに相変わらずニコニコした智也さんがやってきて同じようにドレッシングを舐めて『おいしいですよ』って言ってくれた
オレの隣でふふーっと嬉しそうに笑って沙耶さんと紺庄先輩がテーブルをセットするのを見ている
そして『あれは沙耶ちゃんなりに『認めてる』なんですよ』って教えてくれた
あ、あれが…?
その後もそれなりにいろいろあったけど沙耶さんは何とかオレを紺庄先輩の彼氏として認めてくれたらしい
こうしてオレはめでたく紺庄家公認の先輩の彼氏になれたのだ
その後も智也さんと沙耶さんには何度か会っている
二人とも相変わらず仲がいいままだ
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