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両親おまけ 吉田猛の親

「そんなこともあったねぇ~…」 「……ありましたよ…すごい緊張したんですから…」 先輩が智也さんみたいな顔をしてにこにこ笑う やっぱり親子だな~と思った ホント当時はめちゃめちゃ緊張してもしこんなチャラチャラした容姿のやつ絶対許さないとか言われたらどうしようって思ってたけど智也さんも沙耶さんもいい人で良かった… 今ではいい思い出だ ……唯一髪を黒くして行き損ねたのが心残りだけど… 「あれもみんなでご飯食べて、楽しかったねぇ?猛、またおうちおいでね?またままとぱぱと猛とご飯食べよ?」 「……ウス…」 「ふふっ、約束ー」 先輩が楽しそうにオレの小指に自分の小指を絡めた …かわいい…… きっと智也さんも沙耶さんにこういう事するんだろう なんだか先輩の両親に会って先輩がなんでこんな風に純粋なまま育ったか良くわかった気がした 「あ、そういえばさ、たけるのままとぱぱに会ったときもみんなでご飯食べたよね?」 「あー…そうでしたね~…」 実は先輩も一度オレの両親に会ったことがある あれはオレが先輩の家に行った時よりももっと前の事だったと思う 「猛のぱぱとままもいい人だったよ?」 「……そ、そうッスか…?」 「うん!!ぱぱお料理上手だったしままかわいかったよ?」 「……それ言ったら二人とも喜びますよ」 「また会いたいなぁ…」 ふふーっと先輩が笑いながらそんな事を言った オレの家の両親は共働きだ あまり立派な仕事ではないかもしれないけど父さんはトラックの運転手、母さんは夜の仕事をしている 父さんは長い間家にいないことも多いし、母さんはオレらが家を出る時間に帰ってきてオレらが家に帰る時間に家を出るから行き違いになることが多い でも二人とも家にいる間はよくオレらの面倒を見てくれるし理沙やひかるやひかりとも遊んでくれる良い親だと思う 周りには親の責任がどうだとか、子供がかわいそうだなんて言われたりしたこともあったけどオレら自身はそうは思ってないし仲のいい家族だと思っているから問題ない そんな忙しい両親だけどたまーにお互いの休みが重なって二人とも家にいる時がある 紺庄先輩がうちに遊びに来たその日は偶々両親がそろって休みの日だった

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