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両親おまけ 吉田家母
「ねぇ、たけるぅ~帰ったらプリン作ってぇ~?ねぇねぇたけるぅ~」
「………」
先輩がオレの腕に体をすり寄せて甘えた声でねだってくる
正直もう今すぐにでも『わかりました、甘いの作りますね』って言いそうになった
でもだめだ
「……ダメですよ先輩…先輩今日学校でおやつ食べてしかも家庭科でクッキー作ってそれも全部食べてましたよね?」
「猛のが食べたいんだもん!!一番好きなんだもん!!」
「………ダメです…甘いの食べすぎです…」
「やだぁ~!!たけるぅ~ねぇたけるぅ~おねがぁ~い、良い子にするからぁ~」
「………そんな甘えた声出してもダメです…」
たけるぅ…っと先輩がダメ押しにと甘えてくる
………ダメだ…ココで甘やかしちゃいけない…オレは先輩に甘すぎる…
自分を厳しく律しようと深呼吸した
今日は先輩が家に遊びに来る日だった
そう…ただオレの家に遊びに来るだけ…
宿題して、晩御飯食べて、先輩送って……それでおしまい…よし…プリンは作らない
くぅーんって犬みたいな声を出してオレの周りをクルクル回る先輩をなだめながら、なんとか先輩のおねだり攻撃に心が折れる前に家までたどり着くことができた…
あ、そうだ…後でひかるとひかりも迎えに行かないとな…
今日は姉貴遅くまで授業あるらしいし…美香も洋太も部活だから…
二人迎えに行って…冷蔵庫の中身で晩飯作って………先輩にフルーツジュースぐらいなら作ってあげれるかな……
そんな事を考えながら家の鍵を開く
やっぱり自分は先輩に甘いなぁなんて今更な事を再度自覚してははっとかわいた笑いが漏れてしまった
「ただいまー…」
「たけるぅ~…無視やだぁ!!無視やぁだぁ!!」
今日は理沙も確か友達の家に寄って帰って来るって言ってたし家には誰もいないから返事はないってわかっているけど挨拶をする
もう習慣になっていた
先輩は相変わらずオレの腰に腕をまわして『ぷりん~』っと騒いでる
……絶対に作らない…
折れそうな心を支えなおした
さーて…理沙が帰って来る前に一回洗濯機回さないとな…
これもいつもの習慣で脳内で今日すべきことを時間で割って効率的に動こうとしてしまう…
高校生男子らしからぬ癖だ…
でも今日はいつもと違った
家の奥からバタバタって音となんだか話し声みたいなものが聞こえる
家には誰もいないはずなのに…まさか泥棒…?
そんな事を考えているうちにバタンっと奥の部屋に続くドアが開いて赤い何かがすごい勢いで走り出てきてそのまま俺に突っ込んできた
ずしっと首に重さを感じる
「猛ぅ~!!おかえりなさ~い!!」
「う、わっ!?」
「うわぁ!!ち、ちじょだ!!」
……どこでそんな言葉覚えたんスか先輩…
オレの首に腕をまわしてぶら下がっている赤い服の女の人
確かに痴女と言われてもおかしくないような、もう37歳とは思えないほど派手で露出の多い服を着てた…
オレは良くこの女の人を知っている
「……母さん…」
「おかえりなさい猛?」
オレの実母、吉田恵梨佳はニッコリと笑った
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