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嘘ほんと

「えぇ!?志波くん、いなくなっちゃうの!?」 「……まだわかんないけど…」 「やだぁ!!やだよ!!」 いつものように昼休みに四人で昼ご飯を食べているときに志波の話をした 今朝銀と話してまだ本当かどうかはわからないからむやみにいろんな人に話すのはやめた方がいいけど二人にはそういう考えも含めて話してみようってことになった 「じゃあ…志波先輩、転校…ってことですか?」 「さぁ?別に本人から聞いたわけやないからなぁ…」 「………」 「………」 志波との関係が希薄な猛は健斗をなだめながら『志波先輩綺麗な顔してますもんね…』ともう割り切ったようだった 猛がその辺の切り替えが早いこともあるんだろう でも猛も昨日の俺らと同じことを思ったのかピタッと黙って考え出してしまった こっちに視線を向けて苦々しい表情を浮かべている 「……でも…」 「…あぁ……」 猛の言いたいことを察して返事をする 猛はより一層眉間のしわを深めた 健斗はやだよーっと猛を揺すって駄々を捏ねる子供みたいなことをしていた そしてやっと健斗もそこに考えが及んだらしく口を開いた 「ねぇ…でも……若葉ちゃんは?若葉ちゃんはどうするの?」 「………」 「………」 「………」 誰も答えられない それに不安を煽られたのか健斗がもっと情けない声を出した 「ねぇ…若葉ちゃんにも教えてあげようよ、若葉ちゃん、知らないよ…教えてあげようよ」 「……先輩…」 「ダメだよ健斗…まだ本当にそうなのかわかんないんだし…それにそうだったとしても俺らじゃなくて志波が言うべきだよ…」 「…でも……」 健斗は自分の事のように悲しそうな顔をした 今日も志波は若葉ちゃんとお昼を食べてるのだろうか… たまーに若葉ちゃんにも一緒にお昼をどうかって声を掛けるけどここ最近はずっと志波と食べる志波と食べるの一点張りだった 今日も声を掛けてみたけど同じ返答だったしあの様子じゃまだ聞いてないんだと思う ぺかぺかしていつも通り元気いっぱいだったのが何だか痛々しく思えて俺はいたたまれない気持ちになったりした 「……ほんと…なのかな…」 「………」 「………」 「………」 いつも元気な健斗も猛の服の裾をきゅっと握ってうつむいてしまった 重たい沈黙が流れる でも俺らには志波が自分から何か言ってくるのを待つことしかできなかった

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