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兄貴の兄貴

「~♪」 いい気分でずんずんと大股で歩く 別に特別良いことがあったわけじゃないけどいい気分ッス!! あ、もしかしたら最近ノア先輩が優しいからかもしれないッス!! 最近ノア先輩はおれと一緒にお昼を食べてくれる それに一緒に帰って良いッスか?って聞いたら前みたいに『えー…』とか『うーん…』とか言わなくなってきたッス!! 仲良しッス!!嬉しいッス!! 今日も一緒にお昼食べてくれるんだろうって思ったらわくわくしてきたッス!! 「~♪」 鼻歌を歌いながら軽くスキップするみたいに進んだ ルンルンッス!!なんかたのしいッス!! ノア先輩はオレに優しくなったッス… でも……なんだか最近ボーっとしてることも多くなったッス… 先輩はご飯を食べてる時や一緒に帰ってる時たまーにぼーっとおれを見つめたりぼーっと遠くを見つめてはため息をついておれに声を掛けられるとハッとするようなことが最近多々あった しかもたまになんだか悲しそうな顔をしたり怒ったような顔をしたりしてる時もある どうしちゃったんスかね? 思春期ッスかね? ちょっと心配だった でも大丈夫ッス!! 今日はそんな先輩のために奮発してスピカおばさんのクッキー買ってきたッス!! スピカおばさんのクッキーはおいしいッス!!これできっとノア先輩も元気になるッス!! あっ、でも猛さんのクッキーの方がおいしいッスよ!! 手に持ってた紙袋の中を覗くとふんわりと甘いいい匂いがした 先輩も喜んでくれるはずって先輩の喜ぶ顔を想像して思わず顔がニコニコしてしまう ちょっと前までは先輩が喜んでくれたり褒めてくれたりすると純粋に嬉しかった なんだかむずむずして嬉しい!!って感じだったッス でも最近は先輩が笑ったり頭なでなでしたりすると胸の真ん中のとこがきゅうっ!!ってなってなんだかぽかぽかするッス!! でもそんなに嫌じゃなくて…なんだかお祭りの時ノア先輩にちゅーされた時もこんな感じだったッス だからまた元気になって喜んで欲しいッス!! 学校の校舎が見えてきてなんだか体がむずむずしてそれが抑えられなくてたたっと駆け出した そのままのスピードでコンクリートの背の高い塀を曲がる 「っわ!!」 「うわっ!!」 するとドンって顔や胸に衝撃が来て紙袋がグシャっといやな音を立てた ぶつかった相手の方がおれより大きくて後ろにしりもちをつく 「あぁ!!スピカおばさんがっ!!」 「……若葉ちゃん?」 「……?」 慌てて尻もちをついたままスピカおばさんの安否を確認しようとしたら頭上から聞いたことのある声が降ってきた 首をかしげながら顔を上げる 「!!兄貴の兄貴!!」 「わ~奇遇だねぇ~?」 「久しぶりッス!!」 「そうだねぇ~」 兄貴の兄貴がニコニコ笑って手を振る そしておれの脇に手を入れるとそのままおれを立たせてぱんぱんっと服に付いた汚れを掃ってくれた 前ノア先輩に兄貴の兄貴には気を付けてねって言われたけど兄貴の兄貴もいい人っす!! でもなんだかこの時の兄貴はニコニコしてたけどすこしぞわぞわして怖かった 「………若葉ちゃん…せっかくだしちょっとお話ししようか…」 「……?…」 兄貴はくすくす笑ってなんだか楽しそうだった

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