くすくすと兄貴が楽しそうに笑ってる 「お話し…ッスか…？」 「そうだよ、お話し、金さんとお話ししようよ…若葉ちゃん…」 兄貴はおれの返事を聞かずに塀の下のところにあった段差に座った ぽんぽんと自分の隣をたたいておれのおいでおいでって手招きをする おれはクッキーの事も忘れて兄貴の隣にぴょんっとジャンプして座った 兄貴、足が地面に届いてるッス!!すごいッス!! おれはとどかないッス!!羨ましいッス!! そんな事にさりげなく感動しながら兄貴を見上げると兄貴はまたニコニコしてて楽しそうだった だからおれもにこっと笑顔を返す 猛さんに昔ニコニコにはニコニコで返した方がいいって言われたッス!! ちなみに猛さん自身はニコニコにがてッス!!なんだか怖いッス!! あ、でも健斗さんといる時はいっつも良いニコニコッス!! 兄貴は俺のニコニコに気付いて頭をポンポン撫でてくれた 兄貴が口を開く 「……若葉ちゃんさ、最近ハーフ……ノアくんとどうなの？」 「ノア先輩ッス？仲良しッス!!」 「…へぇ～仲良しなんだ？」 「そうッス!!一緒に毎日お昼ご飯食べてるッス!!それにたまーに一緒に帰ったりもするッス!!先輩、最近おれにもやさしーんス!!」 「………へぇ～……ククッ…」 「……？」 兄貴はおれがそう言うと面白そうに笑った その意味が分からなくて首をかしげる …？……あ、もしかして兄貴も嬉しいんスかね？ もしかしたら兄貴も先輩の事心配してておれと仲良しなの聞いて嬉しくなったのかもッス!! おれは自分の中でそう結論付けた 兄貴が話しを続ける 「じゃあさ、ノアくんと仲良しの若葉ちゃんはさ？ノアくんとどんなお話しするの？」 「いろいろッス!!数学の宮じいのカツラが授業中にずれた話とか…あと猛さんや学さんたちの話もするッス!!えっと…他にもいっぱいッス!!」 ほとんどはおれから話すけれどノア先輩はそれをちゃんと聞いてくれた たまーにノア先輩からも話してくれるッス!! 「そっかぁ…じゃあ……『アレ』は聞いてないのかな？」 「…？アレ？」 「そう、アレ」 金さんがまたニッコリ笑った アレ？ アレってなんすかね？ あ、アレッスかね？体育の授業で四葉のクローバー見つけた話ッスかね？それとも駅前のお肉屋さんのコロッケ値上げしちゃった話…？それともそれとも、このあいだ健斗さんとやったがしゃぽんでゴールドの○面ライダーゲットした話ッスかね？ あ、でもどれもおれが話した話しッス!! ………ノア先輩が話した『アレ』の話？ うーんっと首を傾げるけど何の事を言ってるのか心当たりはなかった 最近のノア先輩との会話にも『アレ』に当てはまりそうなことはなかったと思う ………金さんは『アレ』、知ってるんスね…… なんだかそう思うと一瞬胸のところがズキンって痛んだ いやな感じにきゅぅってなる 金さんはそんなおれを見て目をきらきらさせていた 「そっかそっか、聞いてないのかぁ～」 「？」 金さんは残念そうな声だったけど楽しそうにみえた