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大事なアレ
学校に行く途中に兄貴の兄貴と会って少し『お話し』をしていくことになった
そしたら兄貴とノア先輩の話しになって…
で…そこから兄貴が『アレ』をって…
何でもノア先輩には大事な『アレ』のお話しがあってそれをおれは知らないけど兄貴は知ってるらしいッス……
なんだかそれを聞くと胸のところがいやな感じできゅぅっとなって、不安でモヤモヤした
「でもなぁ~大事な事だしなぁ~」
「……でも…あの…」
「でも気になるよねぇ~」
「………」
「う~ん、でもオレが勝手に言っちゃうのもなぁ~」
兄貴も困ってるみたいだった
おれが聞いたりしたからッス…
……ノア先輩…きっと言いたくないから言ってないんス…
それをおれが勝手に聞くのは…
気になる気持ちと良心がせめぎ合う
頭の両脇で天使と悪魔がケンカしてるみたいな気分だった
や…やっぱり、聞いちゃうのは良くないッス…気になるけど……
「あの…おれ、やっぱり…」
「……うん!!そうだ!!言おう!!若葉ちゃんだもんね!!きっとその方がいいよ!!」
「……え…」
でも兄貴がそう言ってうんうんと頷いた
おれが聞いたほうがいい…ん、スか……?
気になる気持ちがまた大きくなって兄貴に『聞かない』って言いそびれてしまった
ゆっくりと兄貴の口が動きだすのを止められないまま兄貴は衝撃の発言をした
「あのね…若葉ちゃん…」
「………」
「ハーフくんね……もうすぐイギリスに帰っちゃうんだ…」
「………」
一瞬兄貴が何を言ったのかわからなかった
イギリス?に帰る?……誰が…?
頭の中で一気にいろんな考えがグルグルした
誰が?どこに?なんで?
ノア先輩…?…ノア先輩…が…イギリス……に…?
それを理解しかけた時学校の方でチャイムが鳴ってハッと我に返った
学校があったことを思い出して慌てて座っていた段差から飛び降りる
兄貴に慌てて挨拶すると兄貴はフッと笑っておれの頭をなんでかぽんぽんと叩いた
今までで一番、楽しそうな兄貴だった
大慌てで学校に向かって駆け出す
ノア先輩が…どこかに…
さっきの兄貴のセリフが脳内で鮮明にフラッシュバック仕掛けた
頭をぶんぶんと振る
いままで以上に胸がぎゅうぎゅうと苦しかった
嘘ッス…そんなの…
兄貴、おれをからかってるんス…それかおれの聞き間違いッス…
ぶんぶんと頭を振って大股で走るおれを金さんがゾッとするほど良い笑顔でいつまでも見送っていた
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