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わんこ若葉ちゃん

その日のお昼休み… 若葉ちゃんが金さんと出会ったことなんて知らずにいつも通り屋上に来ていた 今日は珍しく若葉ちゃんよりも俺の方が早く来てしまってたらしい 俺が屋上についてしばらくすると キィ…っと遠慮がちな音がして小屋の扉が開いた 若葉ちゃんはいっつもばーん!!って勢いよくドアを開ける だから今日の音があまりにも控えめすぎて若葉ちゃん以外の誰かかと思った 「………」 「……?…」 「………」 結局ドアを開けてやってきたのは若葉ちゃんだったんだけど若葉ちゃんはいつもみたいに騒いだりしなくて何も言わず黙ったまま小屋の上に登って来た 「……あ…ノア先輩…」 「若葉ちゃんの方が遅いなんて珍しい…」 「……えへへ…」 若葉ちゃんはいつもみたいにぺかーっと笑わずこれまた控えめに笑った ………? ……いつもバカみたいにうるさいのに…? なんだか調子がくるってしまう 若葉ちゃんはその後もずっと静かでいつもみたいにぺらぺらお喋りしてこなかった いつもは数学の先生のかつらが…とか近所にオープンする新しいドーナツ屋さんが…とかうるさいぐらいなのに… 今日の若葉ちゃんは若葉ちゃんじゃないみたいに静かでボーっと遠くの方を見つめたり、何か言いたそうな顔で俺を見つめたりしていて、いつもは5個は確実に食べているパンも1つと半分食べただけでため息をついてやめてしまっていた ………変な若葉ちゃん… あまりにも静かで気味が悪かったから 「どうしたの?若葉ちゃん?」 なんて声を掛けてみた すると若葉ちゃんはびくっと体を震わせてから俺を見つめそれから一度目を逸らしてまた何か言いたそうな目で俺を見た 何か迷ってるみたいに瞳が揺れていた なんだかイラっとした 俺が『どうしたの?』って聞いてあげてるのに黙ってるなんていい度胸だね? …一丁前に悩むとか…わんこの若葉ちゃんのくせに… 少し鋭い視線を若葉ちゃんに向けると若葉ちゃんはいたずらをしかられた犬みたいにシュンとしてそっぽを向こうとした させないよ 若葉ちゃんの顎を掴んで無理やりこっちを向かせる 「……言いなよ…」 「………」 「俺相手に若葉ちゃんが隠せると思ってるの?」 「………」 若葉ちゃんがキュッと唇を噛んだ

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