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Please tell me why

先輩に元気がないと言われて誤魔化そうとしたら顎を掴まれて無理やり視線を合わせられた 先輩の大きい青い目がおれのことをじーっと見つめてた なんだか後ろめたい気分になる… 「……言いなよ…」 「………」 ノア先輩がそう言った 「俺相手に若葉ちゃんが隠せると思ってるの?」 「………」 先輩は少しだけ怒ってるみたいだった きゅっと唇を噛む 言ってしまいたくなった でも…これって…ひみつなんじゃ… 今朝の兄貴の様子を思い出した 兄貴…言っちゃっていいのかなぁって悩んでたのにおれが聞いたりしたから… 罪悪感に体が重くなる おれが無理やり聞いちゃったッス… ホントは聞かない方が良いことだったのに… もしかしたらノア先輩だって隠してて言ってないのかもしれないのに… ずきんっと胸が痛くなった 苦しい… ずきずきと痛みは強くなって行った 聞いちゃいけないことだったんス…だって先輩が内緒にしてることッスもん… でも…兄貴は知ってたッス…おれは…知らなかったッス… 胸が痛い… ノア先輩の吸い込まれそうな青い目がぐにゃんっとゆがんで視界が滲んだ 滲んだ視界の中でノア先輩はギョッとしたように見えた 上手く声が出せなくなって頬を水が伝って行った、鼻が詰まって息苦しい そこでやっと自分がなんでか泣いてるって気づいた ぽろぽろと涙が止まらない 「うっ、うぅ…うぇ…」 「…な、なんで泣くの……?」 「…グズッ…うぇぇん…」 「………若葉ちゃん?」 ノア先輩は顎を押さえていた手を離しておれの涙を拭ってくれた なんで悲しいかわかんないッス…でも悲しいッス… しばらくそうやって泣いてたら目の下のところにちゅっと柔らかい何かがあたった ビックリして涙が止まって目を開けるとすぐそばにノア先輩の顔があった 「…泣かないでよ、若葉ちゃん……」 「………」 ノア先輩の声が大きくゆっくりに聞こえた 「Please tell me…」

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