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俺のmama
「今日は私もお仕事お休みにしてきたから後で迎えに来るわね、空港にはpapaも少しだけだけど来てくれるって言ってたからあまり時間はかけられないけど三人でご飯食べましょ?」
「うん、Thank you mama…」
「いいのよ、大事なhoneyのためだもの……じゃあ、honey行ってらっしゃい、Last day of school、楽しんで来てね?」
「うん、行ってくるね」
校門の前でmamaの運転する赤いスポーツカーを降りて運転席に座って大きなサングラスを掛けたmamaとそんな会話をした
車はpapaのなんだけど…とにかく目立つ…
「うわ!!すごい車……と…志波君……さっすがぁ…」
「運転席見て見て?アレもしかしてシェリー・ラストンじゃない?」
「なわけないでしょ?なんでこんなとこにシェリー・ラストンがいるのよ…いくら志波君でも…」
「それもそっか?」
そんな話をしてた女の子たちが「志波くぅ~ん♥」と俺に手を振って校内に入って行った
こんなところでmamaと喋るのはすごく目立つ…まぁ今日でいなくなるから良いんだけどね…
それにmamaは目立つことになれてるのか別に隠れたりしようとはしなかった
あ、シェリー・ラストンって言うのはmamaの芸名?みたいなものでモデルしたり映画に出る時はいっつもこっちの名前を使ってる
papaと結婚する前からこれだし、突然漢字が名前に入ってきたら海外の人はなじみにくくなるとかまぁいろいろあるらしい
オレもそういうことするようになったらリーアム・ノアとかホプキンス・ノアにしないといけなくなるんだろうか?
ボーっとそんな事を考えたりもした
「あーん…志波く~ん、今日で最後なんてかなしー」
「いかないでぇー」
そうやってぼんやりしてたら突然寄って来た女の子に腕を絡ませられた
大概の子は誰か年上の女の人とかと俺が話してると寄ってこないんだけど何人かこういう子もいるのだ
なんだかそう言う子たちにサービスする気分でも無くて内心うんざりしながら愛想笑いを浮かべてると女の子はmamaに気付いた
って言うかむしろ今まで良く気付かずにいられたねって感じだけど…
「あれ?志波君この人…」
「…あぁ…俺のmamaだよ」
「…えっ?」
なんだかめんどくさくなって言ってしまった
女の子たちはびっくりした顔をしてからもう一度mamaの顔を見た
最終日だしいいよね?
mamaの方に視線を向けるとmamaもいたずらっ子みたいな、でも子供のそれとは確実に違う凄艶な笑みを浮かべてグイッとサングラスを額にあげた
『俺のmama』じゃなくて『シェリー・ラストン』としての笑顔でひらっと手を振った
「しぇ…しぇ…」
「シェリー・ラストン!?」
「Hi, guys.」
日本語だって完璧なのにわざと流暢な英語でしゃべって見せていた
mamaのこういうところが好きなんだ
女の子たちは二人で抱き合いあわあわと後ずさった
『うふっ♥』っとmamaは満足そうに笑って俺に視線を戻した
「See you later honey. Have a good day.」
「You too mama.」
そう言うとmamaは運転席から身を乗り出して長い腕を俺の首に回して抱き寄せるとちゅっと唇に浅くキスをした
続いて両頬にもキスをする
そんな俺とmamaを女の子や他の生徒はびっくりした顔で見ていた
こういう注目の浴び方は嫌いじゃない
mamaは最後にもう一度ふふっと笑ってからぐるっとまわりを見回してパチッとwinkすると行ってしまった
イギリスに行く日の朝の事だった
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