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My pet
俺のお腹の上で若葉ちゃんがじっと俺を見つめる
「…ノア先輩…!!」
「……若葉ちゃん…」
何だか怒ってるみたいだった
mamaが突然倒れた俺にビックリして車から出てくる
俺にしがみ付く若葉ちゃんを見てもっとびっくりしたみたいだった
怪訝そうな顔でこっちを見ている
「honey!?大丈夫?」
「え、あ…あぁ…」
「え、っと……」
「あ、大丈夫だよmama…先に車で待ってて?」
「………」
「ただのペットだよ」
「そう?ならいいんだけど…」
mamaはまだちょっと不安そうな顔をしてたけど再度本当に大丈夫だよと言うと車に乗り込んで行った
さて…と……
むすーっとした顔で俺にしがみ付く若葉ちゃん…
すんなり離してくれそうにはなかった
「……とりあえず…立たない…?」
「………」
それには若葉ちゃんも同意見だったらしく少し腕の力を緩めて立たせてくれた
それでも俺が逃げるとでも思ってるのか今度は俺の手を握って離そうとはしなかった
若葉ちゃんが口を開く
「ノア先輩!!なんで行っちゃうんスか!!まだお昼じゃないッス!!お昼までいるって先輩この間言ったッス!!うそつきッス!!嘘ついたら猛さんが怒るッス!!」
「………」
若葉ちゃんがきゃんきゃんとまくし立てる
「おれに黙って行こうとしたッス!!おれに内緒でノア先輩行っちゃおうとしたッス!!ノア先輩…ノア先輩もう……いな、く…なっちゃ…」
「………」
「うぇ…ぐずっ…いなく、なっちゃ…うぇぇぇん!!」
若葉ちゃんの目には俺に文句を言いながらも見る見るうちに涙が溜まって行ってぽろぽろとこぼれ出した
俺の手をキュッと握って泣いている
「いやッスー!!うぇ…いな、いなく…なっちゃ…ぃやッスー!!」
「………」
若葉ちゃんはまた高校生に似つかわしくなくわんわん泣いた
……ほら、若葉ちゃんがそうやってわんわん泣くから皆窓の方に集まってこっち見てるじゃん…
せっかくこっそり出てきたのに…目立っちゃったよ……
びゃぁぁぁっと子供みたいに若葉ちゃんは泣き続ける…
「おれっ…おれ、のあ、せんぱい…と、一緒がいいッス…ッズ…いやッス、いっちゃ…だめ…ッスぅ…」
「……泣かないで若葉ちゃん…」
「のあ、せんぱい…うそつき、ッス…だ、から…むこう、じゃ…お友達、できないッス…ぅぇ…だ、から…だか、ら…」
「………」
『行っちゃだめッスー!!』っと若葉ちゃんが泣く
若葉ちゃんが泣くのを見てるとまた胸がズキズキ痛むようだった
ほら…俺は若葉ちゃんに会わずに行くのが良かったんだよ…でも…若葉ちゃんは来てしまった…
はぁっと溜息が漏れた
忠犬と言うべきか…駄犬と言うべきか……
……………でも……飼い犬の責任ぐらい取らないとね…
学校中の皆が校庭で大泣きする若葉ちゃんと俺に注目してた
もういちどふぅっと溜息をついてから深呼吸した
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