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良い子の一歩

志波がイギリスに行ってから少し経った 「健斗さーん!!おれもご飯混ぜて欲しいッスー!!」 「若葉ちゃーんいいよー!!」 若葉ちゃんはノアがイギリスに出発した日若葉ちゃんはすごく泣いて、俺は良くわからないけど健斗から聞いた話だとその後も少しふさぎ込んでたらしい 志波の事、好きだったんだから辛いよな… もし銀が…って考えて胸がいたくなったのを良く覚えてる でも若葉ちゃんは次の日から学校に来て(遅刻したらしいけど)今までと一見変わらず元気に過ごしてるように見えた 最近は俺らのところに良くお昼を食べにきている 若葉ちゃんは健斗の隣に座ってニコニコしながらお弁当を開いてた そこで健斗が何かに気付いて口を開く 「あれ?若葉ちゃん今日からお弁当なの?」 「あ、お弁当にしたッス!!」 「………?」 確かに若葉ちゃんは今まで購買で買ったパンをお昼ご飯にしてた気がする 猛も気になって若葉ちゃんの持って来たお弁当箱を覗き込んでいた 俺もなんかちょっと気になる… 俺の背中に寄りかかってだらしなく力を抜いている銀を押しのけて若葉ちゃんの方による 押しのけられた銀が不服そうに何か言ってたけど無視した 「自分で作ることにしたッス!!お小遣いも節約だし、良い子っぽいッス!!」 「「「良い子?」」」 「うす!!」 俺と猛と健斗の声が被った 若葉ちゃんはぺかぺかと良い顔で笑って自慢そうに胸を反らしている お弁当の中身自体は正直あまりおいしそうとは言えなかった ……焦げてる… 「ノア先輩と約束したッス!!良い子にしてたらノア先輩がお迎えに来てくれるッス!!」 「「「………」」」 えへへーってなんだか照れくさそうに若葉ちゃんが笑う なんだかそんな若葉ちゃんが健気に見えた 「まなぁ~…なんで無視するん?寄っかからせてーや」 銀がずるずると俺の傍に這ってくる ………こいつにも少し見習ってほしい… 若葉ちゃんは嬉しそうに笑って自分で作ったって言うお弁当を食べてた ちょっとだけ顔をしかめて『まだお料理は練習中ッスけど』って言ってる 「……若葉…全体的に肉が多くて野菜が少ない…色のバランスが良くなるようにつめろ、あと弁当箱に隙間があるから弁当が寄って味が混ざる、もう少し小さい弁当箱にするか詰める量を増やせ」 「!!」 「朝全部作るのは大変だから前の日の晩御飯のあまりとかそう言うのをつめるんだよ」 「うす!!さすが猛さんッス!!参考になるッス!!」 若葉ちゃんは猛のアドバイスを真面目に聞いていた きっとそれも『良い子』になるためなんだろう 『良い子』で胸を張ってノアに会えるように頑張ってるんだ… うんうんと頷きながら真剣に猛の話を聞く若葉ちゃんはなんだかちょっとだけ前より大人に見えた 【ノアの旅立ち編 おわり】

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