くくっ…黒やって…っぶくく… 猛に好きな色を聞いて黒って答えられたときは正直笑いをこらえるのが大変やった 黒…な？ 今思い出しても笑えてくる 「まーなっ、買い物いこ？」 「………」 「ほら、するんやろ？デートの準備」 「……う…でも…」 「まながするって言ったんやん？」 「そう…だけど…」 今日はこれから猛に言った「ええもん」を買いに行く日やった まだあまり気が乗らなさそうなまなを引っ張って駅前のデパートまで連れてくる もう言質はとっとるからな♪ のろのろと進むまなを押して案内掲示板を眺める 「まな～何から見る？服、靴、髪と…あとアクセサリと鞄とかもか…」 「……あのさ…銀やっぱり…」 「なに？やめるん？デートらしいデートするんやろ？」 「そ、そうだ、けど………でも…」 「なに？」 「…じょ………『女装』…なんて…」 かぁっとまなが顔を赤くしてうつむく そう、今日は女装するための服なんかを買いに来てた 言っとくけどこれはオレの発案やなくてまな発案や 猛から連絡が来た日、あの後まなは遊園地がよっぽど嬉しかったのかそれとも寝ぼけて頭がぽやぽやしてたのかいつもよりデレとった おふろに一緒に入るときもあんまいやいや言わんかったしオレがちょっかいかけてもいつもみたいに不機嫌にならんかった それで遊園地楽しみやな～って話しとったらまなが突然シュンとしてどうしたか聞いてみたところ、もっと男女のカップルがするデートみたいなデートらしいデートがしたいとのことだった… いくらデレてるといってもお酒がはいっとるわけやないしえっちしてはにゃ～んってなっとったわけでもなかったから言った後にまなは恥ずかしくなったみたいで『別にいいけど…』って不愛想に言った でもそんなかわええ態度とられたらかなえてあげたくなるやない？ でまなに女装デート案を提案したらデレとったまなはうんうん大きく頷いた 冷静になって今考えてみたら恥ずかしくなったんやろうなぁ～ …まぁ、やめる気ないけど 「大丈夫やって？まな目大きいし化粧映えする顔しとるしちゃんと体型隠れる服着たらかわええ女の子に見えると思うで？」 「……でも…俺背も高いし…」 「それオレの前で言う？オレと一緒におったら小さく見えるってそれに最近大きい女の子もおるしな？」 「……でも…」 「とりあえず見るだけ見よ？な？」 「……」 「ほら、いこ」 まだ渋ろうとしたまなを半ば強引に引っ張って歩き出した せっかくのデートやし、楽しんだもん勝ちやろ？