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待ち合わせ
デート当日の朝
集合場所に早めに到着した俺はスマホを眺めながら紺庄先輩を待ってた
今日のデートは頬付先輩たちのとことは基本別行動することになっている
チケットも事前に渡していた
遊園地の中でばったり…ってことはあるかもしれないけどそっちの方がいいだろうって頬付先輩と珍しく意見があった
学さんと健斗さんは『一緒の方が楽しい(安全)』だって言ってたけど4人で行動するのはどうもデート感に欠くし…
スマホで先輩に送った『着きました』って言うメールに先輩からの『もうちょっとでおれも着く~』って言う可愛い絵文字付のメールが届いてた
「………」
最後に自分の身だしなみを確認した
オレは昨日浪人中の篠田先輩の家に言って服を借りてきた
勉強の邪魔をするのも申し訳ないし、ましてや先輩は浪人生だから服だけ一式借りれればそれだけで帰るつもりだったんだけど受験のストレスの発散に付き合えとなぜか先輩にカラオケに連れて行かれてそのまま5時間男二人でカラオケをすることになった…
別にオレは今日の服装とかの事詳しく聞けたし良かったんだけど…先輩勉強…
そんな風に昨日の事をぼんやり考えてたら先輩と待ち合わせをしてた公園に派手な色合いの服装の女が入ってきた
黄色いひよこの形のポシェットを斜め掛けにして、大きな緑色のメガネを掛けていて、頭にはうさぎの耳みたいな形に縛られたバンダナ?が乗っている
きょろきょろあたりを見回しては自分の持ってるスマホを眺めて誰かを探してるみたいだった
………あの人も誰かと待ち合わせしてるのかな…
特に他にすることもないからその女をボーっと見ていた
「………」
「………ッ!!」
「……?」
少しするとその女はじーっとオレの方を見つめてきた
周りを見て見るけどオレとその女以外この公園に人はいない
しかもそいつは俺に向かってぶんぶんと手を振り始めた
……間違われてる…?
でもまぁ近くに来れば間違いにも気づくだろなんて考えてる間に女はオレのいるところまで駆け寄ってきた
もう相当近くに来てるはずなのにスピードを緩めない
「え…ちょ…」
そしてそのまま女はオレめがけて何のためらいもなく突っ込んできた
どんっと腹の辺りに衝撃が来る
マジかよ…
避けるわけにもいかずとりあえずその女を受け止めた
女は相変わらず勘違いしてるらしく俺の腹にぎゅーっとしがみついて離れない
これは…俺的にもこの人にとってもまずいんじゃないか…?
慌てて口を開いた
「あの…」
「猛!!おはよう!!」
「…へ……」
「猛…いつもと雰囲気違うから一瞬違う人かと思っちゃったよ?」
女は顔を上げてニコーッと笑いながらそう言った
オレのよく知ってる人の声で…
そこでオレはやっと勘違いしてたのはオレの方だったと気づいた
だって自分の彼氏が女の格好をして現れるなんて思っても見なかった…
「先輩!?」
「?おはよう?」
「お、はよう…ございます…」
反射的に挨拶を返す
オレがずっと女だと思ってたその人は紺庄先輩だった
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