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公衆の面前で
そんな回想を一通り終えて顔を上げた
それでもまだ銀の姿は見えない
くっそ…アイツ何やってんだよ…もうあいつが言った時間から10分も経ってるんだぞ…!!
きゅっとスカートを押さえて後ろ側も何かの拍子でめくれてしまわないように銅像に寄りかかって抑えた
さっきから足元を風が通り抜けるたびにスカートの中にも風が入ってむき出しになったそこがすーすーする
嫌でもそんな恰好をさせられてるって意識させられて羞恥心が煽られた
それに…もう移動だけでぶ…ぶらじゃー…が…
ブラジャーの起毛素材に刺激された乳首はすでにぷくんっと膨れて起毛に埋まっていた
しゅりしゅりと乳頭が擦れると泣きそうになる
そんな状態で…こんな人通りの多い所でじっとしてるなんて…
なんだかめまいがしそうでギュッと目を閉じた
その時
少し離れたところでざわざわと人が話す声となんだか聞きなれたキャーキャーいう女の声が聞こえた
パッと目を開いて辺りを見回す
「あの…連絡先だけでも教えてくれませんかぁ?」
「おにーさん、今からアタシたちとあそぼーよ?イイコトさせてあげるよ?」
「ねぇ君!!芸能人とか興味ないかな?モデルや俳優や…もしよかったらお話だけでも…!!」
「………」
絵に描いたような人気者具合すぎて気持ち悪い…
あの人だかりの中心にいるのが誰かは良くわかっていた
人だかりの中心に見えていたピンク色の頭がこっちに向かって進んでくる
俯いてできるだけ髪の毛で顔が隠れるようにした
「まーな?待った?ゴメンな?」
「………」
「ちょっとな?人に捕まっててん?」
「………」
そんなの見たらわかると思ったけど声に出したら男だってばれると思って口をつぐんだ
ただでさえ周りの人にじろじろ見られてて男だってばれてるんじゃないかって気が気じゃないのに…
でも口をつぐんだ理由はそれだけじゃなかった
人ごみから出てきた銀は珍しくちゃんとした服を着ていた
首元が大きめに開けたTシャツの上から丈の長いベストを着て、黒いパンツをはいて髪も自分でやったのかワックスで整えていた、アクセサリーなんかも付けている
正直それこそ雑誌に載ってるモデルさんみたいだった
目が真ん丸になって開いた口がふさがらない
銀が前髪をちょっと引っ張りながら口を開く
「………」
「まなのためにちょっとおしゃれもがんばったつもりなんやけど…どう?」
「………」
「…?…まな?おこっとるん?」
ヘラヘラ笑う銀の後ろにはまだ大勢の人が着いてきていて周りの人たちも興味深そうに銀と俺を見ている
み…見られてる…
もしかしたら男だって気づいてる人だっているかも…背…デカい…し…
こんな…
せめてばれないようにと今まで以上に口を堅く閉じて黙っていた
銀は不思議そうに長い体を折って俺の顔を覗き込んでくる
「まな?」
「………」
「ゴメンて~、ほら?怒らんといてえや~」
そう言うと銀は俺の鼻の頭にちゅっとキスをした
「!?」
「ッ!?」
周りの人もハッと息を飲むような気配がした
こ…こんな人のいるところで…き、きき…キス!?
「いっ、いっ…こ…!!」
「っわ!!」
そのままそこに留まるのがいたたまれなくて恥ずかしくて銀の手をパッと握って走り出した
後ろから「あっ」って声が聞こえたけど無視して銀を引っ張って走る
なんだか心臓がどきどきいってた
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