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恋人らしさ
慣れない女の子モノの靴を履いたまながずんずん歩いていく
さっきからたまに足くねってなっとるけど大丈夫なんやろか?
しばらく歩いて周りにほとんど(って言うか完璧に)人がいなくなるとまなは止ってパッと手を離した
駅から電車乗るから駅で待ち合わせしたのに離れてしもたな…
まなは入念に周りを確認してからやっと口を開いた
「……どういう…つもりだよ…」
「どういうって、なにが?」
「そ、その…かっこう…とか…さっきの…き、き…キス…とか…」
「?」
まなは顔をかぁっと赤らめながらオレを上目づかいで睨んでいる
その顔は背が高いことを差し引いても女の子にしか見えなかった
まぁオレはまなが女の子だろうが男の子やろうが関係ないんやけどな
「かっこうは、せっかくまながそのかっこうでデートするんやったらオレもええかっこうの方がええかなぁ~?って、ちゅーは……なんかしたくなったから?」
「ッ!!あ、あんな…人がいるとこで…」
「まなかわいかったんやもん、それに普段は人前でまなと恋人らしいことできひんし…せっかくまなが女の子の格好しとるんやし、な?」
「………」
オレがそう言うとまなは申し訳なさそうな顔をした
まなはオレがまなのために人に言うのを我慢してるとおもっとる
まぁ…そうなんやけど今となっては別にどっちでもええかなって…いや言いふらしたいけど…
まなはうつむいてしまった
気にせんでもええのに…
まなの顔を除きこもうと少ししゃがむとまながオレの手をきゅっと握ってきた
まなと目が合う
「………さっきみたいのは…その…恥ずかしい…から…アレ…だけど…」
まなはすぐに目線を逸らしてしまったけどそのままゆっくりと手を動かして俗にいう恋人繋ぎにしてオレの手と自分の手を絡めた
恥ずかしそうにちらちらとこっちの様子をうかがっている
まなから外でこうやって手を繋いでくれたことが嬉しかった
ぐいっとまなの体を引き寄せるとまなはわっと声をあげてオレの腕に掴まった
「ふふっ、ありがと…うれしい…」
「…う、ん……」
「じゃあいこか?電車、時間になっちゃうで」
「……うん…」
まなは恥ずかしそうに頬を赤く染めながらも嬉しそうだった
あー…ちゅーしたい…
まぁいいかって気分になって再度まなの頬にキスをした
唇にせんかっただけ譲歩したつもりや
いつものまなの柔らかくていい匂いの頬とは別の化粧品の匂いがした
まなはびっくりした表情でこっちを見ている
「……今は手だけでええけど…ちゅーせんとはいっとらんで?」
「ッ!!」
「隙があれば次は口にちゅーするから」
ニヤッと笑ってみせるとまなはなんとも言えない表情でオレを睨み付けてそれからオレの腕にぎゅうっと頭を押し付けてきた
かわええなぁ…
こんなやり取りを何度か繰り返しながらオレたちは遊園地に向かった
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