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カップル
「…う、わ…」
「………すごい人やな…」
週末というだけあって遊園地にはすごい数の人がいた
もしかしたらどこかで健斗や猛に会うかもなんて思ってたけど…これじゃあっても分からなさそうだな……
「まな、こっちならぼ、おいで?」
「…あ、う…うん…」
銀が自然な感じで俺の手を引いて列に並び俺が人ごみにもまれないように自分の前に並ばせてくれた
………こ、こいつ…なんか慣れてるよな…
俺が人の目を気にするし、俺も銀もあまり人の多い所に行くのが好きじゃないこともあっていつもはどっちかの家で過ごすことが多いからなんだかこういう風に扱われるのも珍しくてドギマギしてしまう
銀は人が多かった電車でも俺を壁側に立たせて自分が人ごみに背を向ける形で立って庇ってくれた
………なんか…いつもの癖で人目気にしちゃうけど…今は…その…普通のカップルに見える…し…大丈夫…だよ、な…?
銀が自然に握ってきた手を握り返す
チラッと銀の方を見ると銀は嬉しそうに笑い返してくれた
それが素直に嬉しかった
「まな初めどこ行きたい?おばけやしきもあるって書いて…」
「やだ」
「えー…オレ行きた…」
「やだ」
銀がさっきスタッフさんから貰ってたパンフレットを俺に見せながらそう尋ねてきた
くっそ…学祭でこいつとお化け屋敷に入ったりしたのが間違いだった…
銀はけらけらと笑っている
「……俺ジェットコースター乗りたい…」
「ジェットコースター?ええよ?そっちは大丈夫なんや?」
「……別に…お化け屋敷だって…ちょっと怖いだけで…」
「はいはい」
銀が俺の頭をぽんぽんと撫でる
なんだか子供扱いされてるみたいでむっとした
「……そういう銀は…ないのかよ…いきたいとこ…」
「ん?オレ?」
話を変えたくて逆に銀に質問すると銀は首を捻って少し考えてから遊園地の中の方向を指差した
「あれ乗りたい」
「あれって…観覧車?」
「ん、まなとのりたいなぁって…なんかカップルっぽいやん?」
銀の口から出たカップルって単語にどきっとして顔が熱くなった
改めて自覚するとなんだか照れくさい
そんなことも見通してるみたいに銀は俺の顔を覗き込んでフッと笑った
「ほらまな列進むで、もう中入れそう」
「………」
なんだか釈然としなかったがそのまま列が進んで遊園地の中にはいるとそんな感情も消えてしまった
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